第77章 【逆ハー卒業ルート】焼肉パーティ
もしかして、私が作ったものだから、とか?
と思い、少しだけ嬉しくなる。
ナス子が何やら一人で笑っていると、それを見た松達も嬉しそうなナス子の様子に思わず誰もかれもが表情を綻ばせた。
「じゃあ、もっかい言うから、そしたらみんなで一斉に消してねっ……おそ松、カラ松、チョロ松、一松、十四松、トド松……みんな、誕生日おめでとう……!」
そして、松達が一斉に蝋燭を消すと、真っ暗になった空間数数秒の後、電気が点けられる。
視界が明るくなると、ナス子は自分が何をされている状況なのか理解し、顔を一気に真っ赤にさせた。
「ふぬぁぁあああっっ!!」
六人に一斉に顔やら額やら頭やら手やらにキスをされ、思わず両手をバタつかせて後ずさる。
こっ、これはっ、絵本……では見たことないな、あれだ、同人誌とかで総受けのキャラが表紙とかでやられてるやつ!
まさかそんな体験を自分がすることになろうとは。
そしてすさまじく恥ずかしい。
鼓動はドクドクと脈打ち、比喩ではなく体温1度くらい上昇した気がする。
そんなナス子の様子に、各々満足そうに笑顔を見せる。
「お前さぁ、キスぐらいでそんな反応してたらこれから身がもたないよぉ? 慣れないと」
「なななな慣れないしっ! いやっ、慣れ……たいのか?! わからんでござる!」
「うわ、出たよ武士言葉……ナス子姉がそれ言う時ってさぁ、大体照れ隠しだよねぇ~」
「はいはい、それくらいにして、せっかくナス子が頑張って作ってくれたんだから、食べようよ」
「姉さん! 切ってケーキっ、ケーキ切ってー!」
チョロ松が持って来てくれた包丁を受け取り、未だ収まりきらない心臓を落ち着かせてから、慎重に切り分ける。
「ちゃんと均等に切れよ……七等分て難しいか、八等分でいいんじゃない」
「う、うん、わかった……でも、残りの一つを巡って争いが起きそうなので、最後の一切れは松造さんか松代さんにあげてね」
「それが平和的な解決方法だね」
なんとか上手に八等分に切れたことにとりあえず安堵し、小皿へと分けていく。
全員にそれが行き渡ると、ナス子はパンっと両手を合わせて、またも緊張した面持ち。