第77章 【逆ハー卒業ルート】焼肉パーティ
「いつの間に……ていうか、お前ケーキなんて作れたの? 買ったんじゃなくて?」
「ちゃんと作ったよっ……て、手作りにこだわりたいなんて私の自己満足だけどさ」
やっぱり素直にどこか有名な洋菓子屋のバースデーケーキにすればよかったか、と、ナス子が思った時、
「スッゲー!! 姉さんっ! スッゲーうまそうっ! すげーね! ボクたちの為のボクたちだけのバースデーケーキだあ!! ハイハーイ!! ボク蝋燭消すよー!」
「っ十四松! ズリぃぞぉ! 俺だって消したいからっ! やっぱ代表は長男だろ!」
「ふっ、バカも休み休みにしておけおそ松……! ここはこのカラ松が、華麗にスマートに吹き消してやろう!」
「おい黙れクソ松殺すぞクソ松、蝋燭っつったら俺だろうがよぉ……俺ほど蝋燭が似合う奴他にいんのかよ、ああ?」
「いや蝋燭が似合うとか意味わかんないからね……ていうか、蝋燭消すの僕だから。兄弟で一番しっかり者の僕が代表になるのは当たり前のことだろ?」
「チョロ松兄さん最近ただのシコキャラでしょ? いつもいつもしょーもない兄さんたちに突っ込み続けてるぼくが行くべきところでしょ、ここは」
あっという間に一触即発の雰囲気になり、蝋燭の明かりだけが灯る空間に静寂が訪れる。
全員で消してもらおうと思っていたナス子はわたわたと慌てて中心へ入って乱闘モードを遮断する。
「あっ、あのね! 全員で消してもらいたいんだけどっ……さすがに6回蝋燭立て直してたらクリームが溶けちゃうかもしれないし……っケンカしないでほしいんだけど!?」
ナス子が必死になって若干困り顔でそう言うと、ピリリとした空気を醸し出していた松達がその空気を和らげ、顔を見合わせる。
「……しゃーない、ナス子がそうしろって言うんならそうするかぁ」
おそ松の言葉に全員が頷き、六人が一斉にケーキを囲む。
大の男が六人揃って、誰が蝋燭を消すかで揉めるとは思ってなかった……わけではなかったが、まさか本当に揉めそうになるとは。