第77章 【逆ハー卒業ルート】焼肉パーティ
松達が各々自分で肉を焼き始めたので、ナス子もやっと自分の箸を持ち焼肉にありつく。
「んん~~うまーっ! 焼肉って幸せだよね~~」
「ナス子姉、ぼくみたいに野菜も食べたほうがいいよ、春キャベツ甘くて美味しいよ」
「ありがと、トド松」
お皿に鮮やかな黄緑色のキャベツをトド松に乗せられ食べると、春キャベツらしい柔らかい食感と広がる甘味にほっぺたが落ちる。
「春キャベツやばっ!」
「でしょでしょーっ、春の野菜って甘くて美味しいんだよねぇ~主役はお肉だけど、はずせないよねっ」
「うんうん」
会話だけ聞いていると女子会か? と思うような内容だが、今更なので誰も気にしない。
ビールはほどほどに、肉はたっぷり買ってあるので、ペースは速いが取り分がなくなる心配もなく余裕を持って食べられる。
おそ松、チョロ松、トド松はだべりながら賑やかに食べているが、一松はミケ子の相手をしながら食べているせいか会話にはあまり加わらず、カラ松、十四松に至っては、肉を食べるのに真剣すぎてほぼ無言になっている。
「カラ松と十四松、真剣すぎない? なんかキャラが変わっている気さえするんだけど……カ、カラ松?」
「…………」
無言でひたすら肉を食べ続けるカラ松。
「カラ松ってば!」
「んっ!? え? な、なんだ? どうした、ナス子」
今やっと話しかけられていることに気付いたカラ松は、驚いて顔を上げる。
しかし器用なことに顔はナス子に向いているが、手は止まらず、相変わらず焼けた肉を自分の皿へと運んでいる。
「い、いや、ごめん、呼んだだけ……いっぱいお食べ……」
「? ああ、食べているぞ。ナス子も沢山食べるといい、こんな機会滅多にないしな」
「焼肉は戦争だよ、ナス子姉さん。生き残った奴がより多くの肉を食べることが出来るんだよ」
「争奪戦にならないように山ほどお肉買ってきたんでしょうが……そんな心配しなくても、総額5万もの肉やら海鮮やら野菜やらあるんだから……」