第77章 【逆ハー卒業ルート】焼肉パーティ
さすがライジングチョロ松。
意識が高いだけでなく、想像力や妄想力までやはり他の兄弟達より特出している。
牛の舌べらだよな、と思うところまでは普通だと思うが。
「そこは否定しろよっ! いいだろ別に……き、キスくらいいつしたって……恋人なんだから」
「うん、だからそれはいいけど……いや、忘れよう、牛タン食べる度に思い出しちゃうしっ、さっ、仕度仕度っ! チョロ松、そっちのお肉お皿に並べて、私こっちやるから!」
「わかってるよ……ホントに食べるわけじゃないけど、牛の舌よりナス子の舌のほうが好きだけどな、俺はっ」
「っ! なっ、なっ……!」
言われた台詞に思わず真っ赤になりわなわなと身体を震わせていると、台所の入り口から地を這うような声がして上昇した体温が一気に元に戻る。
「ナス子の舌が……なに? お前らナニしてんの」
「いいいい一松っ! いつからそこにっ」
「いつからと言うならずっといますけどね、居間に……ねぇ、肉まだ? もうこっちは準備出来たんだけど」
一松の台詞に居間を窺うと、確かに肉肉コールがさっそく始まっている。
「ああ、ごめん、出来たからすぐ持って行くよ」
「わ、私もっ!」
「……そう、んじゃ、始めようか」
何か言いた気な一松だったが、やはり焼肉の魔力というのは強烈なのか、肉が盛られた大きな皿を二人が持って見せると、また居間へと戻っていく。
チョロ松とナス子はチラリと一度視線を合わし、思わず二人で苦笑いを漏らすと、肉を待ちわびている兄弟達のもとへそれを運ぶ。
全員がテーブルに着き、いよいよ誕生焼肉パーティーの始まりである。
「よーしっ! 全員揃ったなっ! それじゃ……お前らっ、そして俺っ! 誕生日~~~~おめでとうっ! かんぱーい!!」
「「「「「「 おめでとーう!! 」」」」」」
ゴクゴクと一気にビールをあおる松達。
ナス子だけは相変わらずジュースだが、さすがに今日ばかりは酒を止めるわけにはいかず、絶対に飲みすぎないと念押しをするだけに留まった。