第77章 【逆ハー卒業ルート】焼肉パーティ
ホットプレートやお皿など、焼肉パーティーを準備している中、留守番していたチョロ松が、スーパーの袋から肉のパックを出しながら、ふとその手が止まる。
「………」
「ん? どうしたのチョロ松」
チョロ松が見つめていたのは牛タンのパック。
もしかして外国産だったのが気になるのだろうか。
だが昨今、精肉店でも国産の牛タンはほとんど買うことは出来ない。
当然スーパーにも置いてあるわけはなく、しかし食べたいには食べたいので外国産を買ってきたわけだが。
「ごめん、もしかして外国産なのが気になってる? 国産はさすがに売ってなくてさぁ……でも、美味しそうでしょ?」
「え? あ、ああ、ううん、違うよ、別に何処産とかは気にしてないけど」
「あ、そうなの? じゃあ何? 」
もしかしてビニールが破けてしまっていたとか、そういうことかな、と、チョロ松が持っているパックを隣から覗き込む。
よくよく見てみるが、別に破れもなければ特におかしいところは見当たらず、ナス子は小首を傾げる。
「別になんもなってなくない?」
「……ナス子」
「ん?」
名前を呼ばれ、すぐ隣のチョロ松に顔を向けると、突然唇を塞がれる。
「んっ……?! んん……っ」
すぐに舌が侵入してきて、顔を離そうとすると、二の腕を掴まれて引き寄せられてしまい、角度を変えてさらに深く口付けされ、おおいに焦る。
冷蔵庫の前、居間からは死角になっている場所ではあるが、すぐ隣からは松達の声が聞こえていていつこちらに誰かが来てもおかしくない状況。
「んっ……チョ、まっ……ん……は……っ」
「……ごめん、急に……」
唇を離したチョロ松が、うっすらと顔を赤くしてそう言うと、焦りはしたものの嫌ではないので軽く首を横に振る。
「あ、謝ることはない、けど……なに、急に……っ」
「いや、なんか……コレ見てたら、したくなっちゃって」
コレ、とは、先程チョロ松が見つめていた牛タンのパックだ。
わけがわからず思わず眉を寄せて顔を顰めるナス子に、チョロ松が自分でフォローを入れるように言葉を続ける。
「牛タンって、牛の舌べらだよなぁって思ったら、なんか……っ変態か俺は!」
「うん、変態だね……」