第77章 【逆ハー卒業ルート】焼肉パーティ
そんなこんなで、買い物代表のナス子、おそ松、カラ松、十四松、トド松が、スーパーでしこたま肉を買ってきた帰り道。
「姉さんっ! お風呂入ったの? シャンプーの匂いする」
「え?! あ、う、うんっ……ちょっと、その……汗かいちゃったから」
しまった、十四松の嗅覚は人間より鋭いんだった。
いや、十四松も人間なのだが。
荷物は全て松達が持ってくれたので、ナス子は手ぶらだった両手をブンブンと振り、慌ててそう答える。
「あと、トド松も。もしかして━━━━━……」
目を猫目にしてじっと見られて、思わず嫌な汗が頬を伝う。
別にバレたらバレたでどうということもないのだが、なんとなく、なんとなく、やはりああいうことはデリケートなことだから、こんな道端で言ってほしいことではなかった。
「ヤっちゃった?」
「ふっつーに言ったよこの子っ!! コラ十四松っ! 往来で何を言うんだっ!」
「サーセン! でも、当たりでしょお」
「うっ……」
後ろを歩いていたおそ松が十四松とナス子の間に割って入ってきて、大きな声を出す。
「マジでっ! 俺らがパチンコ行ってる間にお前らセックスしてたのかよっ!!」
「大声を出すな裏パンするぞおそ松!!」
「もうしてるっ!」
言いながらおそ松の顔に裏パンをかますナス子。
その速さたるや速すぎて止まって見えるほどである。
悲鳴が突っ込みという高等テクニックをおそ松が出来るとは驚きだが、いつかの十四松のような顔がめり込んだ状態でもまだ口を閉じない。
「ズリーぞぉ! 俺だって一回ヤったきりでヤれてねぇんだから呼べよっ! お兄ちゃん仲間はずれ反対ー!」
「生肉を口に突っ込んでやろうかおそ松ぅぅぅ!!」
「せっかくの高級国産牛をゴミに出すのと同じだぞナス子! それはやめてくれ……!」
お肉大好きカラ松が割とマジなトーンで止めに入ってきた。
そんなに心配そうな顔をしなくてもナス子としても本気でこんな良い肉をドブに捨てるようなことはしない。