第77章 【逆ハー卒業ルート】焼肉パーティ
まさか、とは思うが、本気で忘れているのか?
毎年毎年、この日になるとこっちが何も言わなくても押しかけてくるぐらいの日だというのに。
「━━━━━━アンタ達のっ、誕・生・日! でしょうが!」
ナス子が強調してそう言うと、束の間の静寂の後、六人が一斉に手堤鼓を打つ。
その動きがピッタリと揃っていて、思わず感心してしまった。
「ああー! そういやそうだったそうだった! いやー、マジですっかり忘れてたわっ、俺ら六人同じ誕生日なのに、全員忘れたのぉ?!」
「忘れるのも仕方がないというものだ、おそ松……何故なら、この世は毎日が誰かのバースデイ……だからな……!」
「僕もだけど、兄弟全員自分の誕生日本気で忘れたのなんて初めてなんじゃない? いやー貴重な体験をしたね」
「別にめでたくはないけど……確かに、忘れたのは初めてかも……」
「ボクも! ボクも忘れてた、真面目にっ! 真面目にぃ~~!」
「ホントだ、今日確かに5月24日だぁ……3日くらい前まで今日のことしか考えてなかったような気さえするのに、まさか忘れるなんてねぇ」
てっきり忘れている振りかと思ったが、どうやら本気で全員が自分たちの誕生日だといことを忘れていたらしい。
皆口にしているが、ナス子自身も初めての体験だ。
「珍しい……っていうか、初めてだから珍しいも何もないんだけど……なに? 自分達の誕生日忘れるほどに何か他に気になることでもあったわけ?」
ナス子のその発言に、ぴくりと反応を見せる松達だったが、それは一瞬のことで、ナス子は気づかなかった。
すぐに元に戻り、各々部屋の中へと散らばっていく。
ナス子にいまだベッタリしたままのおそ松が、代表してその質問に答える。
「いや別にそういうわけじゃないよ、俺達もいい年だし、誕生日ぐらい忘れることもあるって!」
「毎年毎年私の家に押しかけて来てはなんか寄越せなんか寄越せって言ってたアンタらがねぇ……まぁいいけど。ということで、今夜はハッピートゥナイト改め、ハッピーバースデイ焼肉パーティーにしましょー!」
「「「「「「 オー!! 」」」」」」