第76章 【R18】【逆ハー卒業ルート】主婦は偉大だ3 【4・6男】
「なんとかアイツらが帰ってくるまでに間に合ったー……あ、そうだ、開けられたらマズイから張り紙しとこっと」
『ナス子が精魂込めて作りました』
そう書いた張り紙を、箱の正面に貼り付ける。
我ながら書いた内容が空しいとも思うが、下手に『開けるな』と書くと逆に開けられる可能性が高い。
よってこの内容だった。
松達はナス子が料理が得意ではないのを知っているので、普段からナス子の手料理と聞くと身構えるためこう書いておけば進んで開けることはないだろうという寸法である。
ずっと立ちっぱなしだった為、自分用の熱いお茶を一杯入れ台所の椅子に腰をかけてテーブルにダラリと突っ伏して一息入れる。
「はー……お菓子作るのって料理作るより疲れるかも……でも失敗しなくてよかったなぁ」
「何が失敗しなくてよかったの?」
「のわぁぁぁあぁぁ!!! っト、トトッ、トド松?! 出かけてるはずじゃっ」
「ビックリしすぎじゃない? ぼく、ちゃんとただいまって言ったしー」
「そ、そう……気付かなかった、ビックリしたぁーっ」
「俺もいまーす……なに? もしかして何か作ってたの?」
トド松の後ろからのっそりと現れたのは一松。
完全に油断してくつろぎモードに入ったばかりのナス子は先程驚いた心臓がまだまだ鳴り止まない。
「は、は?! つっ、つつ作ってないしっ……ちょっとお茶入れて寛いでたところだったからビックリしちゃっただけっ……!」
「ふーん……まぁそうだよね、ナス子が自分から進んで何かを手作りなんて、材料が無駄になるだけだし、自分でもそれわかってるもんね」
「あははー、言えてるー」
「おいコラ、食べられる物を食べられなくするほどじゃありませんっ」
自分で言って何にもフォローにはなっていないが、料理が得意ではないことは事実なのでそこも否定は出来ない。