第74章 【逆ハー卒業ルート】主婦は偉大だ2
「わ、わかってるよ……」
ニパっと笑ってまた兄弟達の遊びの乱闘に戻る十四松。
その乱闘の場を視線だけチラリと向けて様子を見るナス子。
十四松以外はコチラの会話を気にしている様子もなさそうで、タイミング的には今とばかりにポケットからお札を取り出す。
「ち、チビ太……これ……」
「は? まだそんなに食ってないだろ? 多すぎねぇか?」
「あ、あの、ね?」
オレンジのような赤みのある灯りのおかげで頬の色を隠せて良かったと思う相手は、チビ太を少し手招きして顔を近づけてもらう。
先程の十四松がしてきたような仕草で今度はナス子がコショコショと内緒話を少しするとチビ太はギョっと目を見開いた。
「━━━━━━と、いう事なので、お願いします!」
「こんな時間に3人でどこ行くんだよ?」
「へ?! え、えっと……ド〇キホ〇テかな!」
「…………それ、3人で行かなくてもいいんじゃねぇの?」
心底疑いの目で見られるナス子。
先程の十四松との内緒話は聞こえてはいなかったがさすがは六つ子とも幼馴染、鋭さが際立つ。
「ちょっ、ちょっと用事があるだけだから! やましい事とかなんもないからっ」
慌てるように小さな声で否定しようと取り繕うようにするがその言葉は逆にチビ太の仮定を確信に変えさせる事に変わってしまったらしい。
「━━━━━━━へぇ~………」
「おい、なんだその目はぁ!」
やれやれと言う顔をしながら腕を組み目を瞑って溜息を漏らす店主。
相手は松野家の童貞六つ子。
付き合う事になったらいつかはその日がやってくるだろうと心配してはいた。
チビ太も男、彼女が出来たらそういう行為をしたくなってしまう事くらい理解出来る。
ましてや日頃からエロスケベな6人が両想いになった恋人をむざむざ放っておくなんて事はしないだろう。
いくら大切にしていると言えど、限度と言うものがあるのではと考えていた。