第74章 【逆ハー卒業ルート】主婦は偉大だ2
「あっはっはっは! ねぇチビ太、面白いっていうか暇しないでしょ?」
自分は酒など飲んでもいないのに、6人のやりとりが可笑しく笑いが零れてしまう。
やりとりを嬉しそうな顔で見ているナス子を見ると、チビ太も先程思った事とは違う方向の思考が巡る。
「は~、趣味が悪いっていうか変わってるっつうか。てんでオイラには理解不能なんだけどなぁ……寧ろしっかりしろよ! って言いたくなるけど、存外幸せそうなんだな?」
「え、なに急に?」
微笑ましくチビ太に見られるナス子は自分の今の表情などはわからず首を傾げた。
トクトクとカウンター越からおかわりの茶を注いでもらいまた一口それを煽る。
「ぷはーっ、不思議だね。周りが酔ってるとさ、こっちまでお酒んでる気分になってくるんだけど」
「場の雰囲気ってあるからなぁ、特にこの馬鹿騒ぎ連中が相手だとそれに飲まれやすくなるってぇのもあるんじゃねぇの? 姉さんは一緒にいる時間も長いしさ」
本当は風呂から出てすぐに酒を飲むと回りやすく、身体にも危ないのだがそんな事はおかまいナシにじゃんじゃんとビールをおかわりしていく恋人達を見て徐々にナス子の心臓は高まって行った。
「そうだねぇ……私もお酒もっと楽しく飲めればいいのに」
「姉さんが飲むと、ほ、ほら……その、あれだろ? 二日酔いとかあるし、えーっと……」
前回食べに来た際、酒を飲みチビ太に絡んだ事のある年上幼馴染を心配し慌てたようにチビ太が止める。
酒が入ると面倒な客は六つ子に然り沢山いるのだが、ナス子は性格上ネガティブ思考の為、人に絡んだ後の後悔と懺悔が襲ってくるであろう事を理解しているからこそ、それを進めようとはしない。
前回はつい久しぶりの再会に忘れて酒を出したのもチビ太本人ではあったのだが、それも申し訳ないと思ってからの今である。
「姉さん姉さん、今日は飲んじゃダメでしょ?」
「ぅ……」
6人、椅子から下り騒ぎ始めていた兄弟達であったが、チビ太とナス子の会話が聞こえていた十四松が近づきコソコソと耳打ちする。