第11章 本日決戦日 チョロ松side
終了のアナウンスが流れると、やり切った顔で僕は待ち合わせ場所で座ってナス子を待つ。
買いたいものも全部買えたし、予定にはなかったけど、気になる小説や新しい作品を買ってみた。
今から帰って読むのが楽しみすぎる~ふふふ~♪
「わっ、すみません!」
聞こえてきた声の方を見ると、顔は見えないが身長と動きで察しがついた。
ナス子がヨロヨロとこっちに歩いてくる。
紙袋が1・2・3・4・・・・バーゲンにでも行ってきたの?!
「ちょっとナス子! 買いすぎじゃない?! 真っ直ぐ歩けてないんだけど?!」
さすがに見ていられなくて、ほんの数メートルだがナス子の所まで駆け寄ると、紙袋を持ってやる。
重っった!!
ナニコレ?!コンクリートでも詰めてあんの?!ってぐらい重いんだけどー?!
どんだけギュウギュウに押し込んだんだよ!!
ナス子を見ると、汗をキラキラさせてひどく満足そうな、やり遂げたって顔で空を仰いでいる。
いや、空見えないからね?建物の中だから。
「ありがとー、チョロ松! 後少しで転ぶか荷物落とす所だったよ」
「自分が持てる範囲で買えよ!! これ持って会場歩き回ってたの?! ゴリラかよ!?」
「興奮してたから・・・って誰が興奮したゴリラだ!」
さっきまで僕がいた場所まで2人で戻ってくると、ナス子はドサリと荷物を置き、満足そうな表情を浮かべる。
「は━━━━━━っ・・・! 楽しかったぁぁ~!!」
「そりゃよかったね」
僕も同じ事を思ってるけど、ナス子の買い物の量を見てたらなんだか一緒に喜べない。
どうすんだよコレ。
ロッカーにもまだ入ってるし、2人で運べるの?
僕だってこれでも結構買ったし、一緒に持ってやるにしても一遍には無理だな。
「チョロ松、ちょっと荷物見ててくれる? ロッカーに預けた荷物持ってきちゃうから」
そう言って、コインロッカーへと走って行く。
ナス子姉・・・いつもどこからこんな金用意してんだよ・・・
まぁ普通に働いてるし、貯金はあるんだろうけど。
そんなにお金あるならもうちょっと、服とか、アクセサリーとか、そういう女の子らしいものを買ったらいいのに。
飾りっ気がまったくないんだよなぁ・・・
こりゃ、まだまだ彼氏は出来ないな。