第74章 【逆ハー卒業ルート】主婦は偉大だ2
訳がわからないが言われた通り二階に行き、ソファに寝転がる。
ミケ子を腹に抱くと仰向けになりスマホを弄り出すナス子。
おかしい、絶対におかしい。
気になりすぎてゲームに手がつかない。
いきなり異世界にでもトリップしたのか?
あんなにちゃんとした六つ子は知らない。
「……あ」
声が入り口から聞こえてソチラに目を向ける。
向けた先には一松がこちらを見下ろして立っていた。
「一松、掃除終わったの?」
「まぁね、やる事は一通り済んだから」
言った一松が部屋に入りナス子の座るソファの下に寄りかかりながら体育座りをするが、主人の腹の上で寝ていたミケ子が一松に気づくとストンと一松の頭に乗っかる。
絶妙なバランスで一松の頭に乗るミケ子と、動く気配のない静止した一松を見てついナス子は噴出してしまう。
「……ぷはっ、ホント懐かれてるよねぇ。 猫神様~」
「猫神様って、ナニソレ……言われて嫌な言葉ではないけど」
「動物園の時も凄かったし、いつも一松は猫に好かれるし扱いに長けてるなぁと思って……それにしても、二人共バランス良すぎ、ははっ」
振り向く事の出来ない一松はミケ子を乗せたままナス子の笑い声が後ろから聞こえて軽く安堵の息を吐く。
「━━━━━━━━━━ごめん」
「え?」
「だから、さっき……」
そういえばさっき6人に向かってキレて、自分もその事でやりすぎたと謝ろうとしていたナス子。
一松が先に謝って、その事を思い出す。
「あぁ、その事なら……私も……ごめん」
「?」
ナス子はソファから下りて一松の隣に座り、同じ体育座りをすると、体勢を変えられないままの一松に顔を向けて無言でそれを見つめた。
「な、なに見てんの……」
「別に、見たいから見てるだけですけどぉ?」
「あぁそう、ならお好きに見て下さいな……見ても楽しくも何ともないゴミ人間ですけどね」
「うん」
いっそ皮肉は今は無視だ。
そのスルーに関し一松も何も言わないので良しとする。
やはり一松と二人の空間はまったりして落ち着くと、二人と一匹の間にまったりとした空気が流れる。