第74章 【逆ハー卒業ルート】主婦は偉大だ2
「その前にトイレでしょ? おそ松兄さんはクジでトイレ係になったんだから早く行けよ」
「ちぇ、人使いの荒い三男め……やればいいんでしょお、やれば!!」
立っていたナス子の横をブツブツ文句を言いながら通り過ぎるおそ松。
破かれた服は着替えたようで、全員久しぶりに見るグレーのパーカーを着ていた。
「ねぇ!! 皆なんでいきなり掃除なんてしてんの?」
やっと言葉を発すると、出て行ったおそ松以外の5人がナス子を一斉に見る。
「まぁ、ここは僕らの家だしね。ナス子にばっか任せてないでたまには自分達の手でちゃんとしようと思っただけだから」
至極真っ当な意見がチョロ松から返ってくる。
チョロ松ならそんな言葉を言うのはおかしくないのかもしれないが、全員が一緒に協力して掃除しているのが不思議だ。
掃除だけではない。
トド松も一松も、いつもとは違う事をしている。
そしてあの今朝、洗濯をしてくれていたおそ松さえも、クジ引きと言えど逃げる事をせずトイレ掃除を自らしに行く。
全員に謝罪を告げようと思っていた事もあまりの出来事に忘れてしまい放心したままではあるがナス子は大人しく二階へと上がって行った。