第74章 【逆ハー卒業ルート】主婦は偉大だ2
付き合ってからと言うもの、手は出そうとするが絶対に無理にはして来なかった。
いくら怪力の自分相手でも、向こうは男性、無理やりしようと思えばきっといつだって最後まで出来たハズ。
旅行中の泥酔しおかしくなった六つ子達を見てるとその違いは明白だ。
最終的に火事場の馬鹿力で倒したのは自分ではあったが……。
昨日だって今日だって一応おそ松とカラ松は労わってくれていた。
いつも馬鹿にして、茶化して、弄ってくる。
━━━━━━━━━━愛しい馬鹿共。
そのわかりにくい愛情表現に気づいていたハズだったのだが、それはハズなだけで、本当はちゃんと見ていなかったのかもしれない。
「……っ、ホンット! わかりにくいんだよ、あの松共」
過去の男性事件からこの6人が幼馴染で姉のような存在であるナス子を過保護な程守ってくれていた事はちゃんと理解している。
実際オタクと言うのも本当の事だが、ナス子に中々彼氏が出来なかったのも、実を言ってしまえばコイツらの所為でもあったのはここだけの話。
近づく男性を心配から蹴散らしていたのだから……。
ちなみにこの事はナス子は知らない。
知ると確実にキレられると思う六つ子も何も口にはしようとしなかった。
色々思い出して行くとなんだか、こちらの事情を考えろと自分は言うが、それなら自分だって彼氏達である6人の事情を考えるべきなのではないだろうか?
自分の頭に理解出来る事はあるにしても、あまりに非日常、非常識過ぎて段々と自分自身がどうしたいのか、どうあるべきなのかわからず混乱しその場に屈む。
みんなとシたい?
そりゃ好きな人達なんだからYESだ。
ならさっきみたいな扱いをやめれば今すぐシてもいいの?
それは少し違う。
ではムードがあればいい?
わからない。
自問自答の葛藤の中、一つだけ確かに思っている事は、ずっと言ってはいるが嫌ではないという事。
また昨日のおかしくなった自分が出て来てしまうのではないかと嫌悪感が顔を覗かせる。