第74章 【逆ハー卒業ルート】主婦は偉大だ2
「さ、まずは洗濯かぁ。ちゃちゃっとやっちゃいますかねぇ~」
伸びを大きくして、洗濯機へと向かう。
「あ、やっべ粉入れすぎたかぁ?」
「は?」
洗濯機置き場に到着したナス子の目に、UMAが現れたのではないかと思うくらいビックリする相手が、洗濯機の中に洗剤を入れて、まさかの洗濯を開始しようとしているではないか。
「あぁ、お前遅いよぉ~! 皿洗いはカラ松がやってくれたんだろ? こっちも早くやっちゃおうぜ」
「い、一応確認の為聞いてもいい?」
「あぁ? んだよ?」
「松野━━━━━━おそ松さんですよね?」
ドッペルゲンガーか何かですか?
本当にそう思ってしまう。
だってこれはおそ松、おそ松だぞ? おそ松ってそんな事しないでしょ~。
キャラ付け云々昨日言った本人が自分でそんな事を思ってしまう。
「なに言ってんのお前? こんなビックなカリスマレジェンドの塊みたいなオーラ放つ相手なんて一人しかいないでしょぉ? 目ぇ腐ってんの?」
この言い方はいくら顔が似てる六つ子達でも調子のいい口調と言えばすぐに誰かわかる。
UMAでもなくドッペルゲンガーでもなく……長男、松野おそ松本人だ。
「いや、だって……今、洗濯機動かそうとして」
「俺が洗濯しちゃマズイっていうのっ? 俺だってこんくらい出来るし! やらないだけで」
とても複雑な気持ちがナス子に現れる。
今まで一緒に過ごしてきた人生の中で、こんなに気の利くおそ松を見た事があるのだろうか……、
━━━━━━━━━━否。
初めてだ。多分、きっと、そう。
寧ろ実家で家事をするおそ松も初めて見た。