第74章 【逆ハー卒業ルート】主婦は偉大だ2
水色のパジャマを着たチョロ松が二階から降りて来て、溜息をつきながら定位置に座る。
その表情になんだろうと不思議に思ったナス子ではあるのだが、まだ一線を越えていない相手だと少し安心してしまうのは否めない。
特にチョロ松相手だと余計に。
「いつまでお姉ちゃんって言ってるの? もうお姉ちゃんじゃなくて彼女なんだから幼馴染だけでいいんじゃないの……」
ヌっと今度は静かに部屋の中に入り定位置に腰掛ける一松。
チョロ松に同じく何か浮かない表情をしていてまた不思議になるも、寝起きなんてこんなものだろうと気にせず話す。
「ま、まぁ……そうなんだけどさぁ! でもお姉ちゃんなのは嘘じゃないもん!! 十四松やトド松だって私の事姉さんって呼んでくれるしぃっ」
「十四松のアレは癖みたいなモンだし、トド松はただあざと可愛くしてるだけでしょ? 誰もお姉ちゃんとは思ってないんじゃない? あ、これもしかしてカラ松が作ったの?」
「ほぁ! バレたぁあああ、何故バレたしっ」
実際全員が姉のような存在と言うのは最早思ってはいないのかもと思うと少し寂しく感じるナス子でも、逆に考えてこの六つ子を今も弟かと聞かれると、やはり何かが違う。
そうなればもうこの関係は恋人で幼馴染としてのものになるのではないだろうか。
「だって、今日の朝食唐揚げ多すぎだし。 まさかお前がこんな時間から面倒臭い揚げ物作るとは思わないじゃん?」
「はぁ~、なるほどねえ。 チッ、クソ松のヤツ……死ねばいいのに……」
チョロ松の言葉には納得できる、しかし一松がいきなり何を言い出すのかと目を見開いてしまう。
死ねとか殺すとかよくカラ松に言ってはいるけども、今は何もカラ松はしていないし朝食を作ってくれたと言うのに、何故ここでこんなセリフが出たのかと唖然とする。
「一松、どうしたの突然? 今日は朝からカラ松が早起きして皆のご飯とミケ子のご飯も作ってくれたんだよ?」
「それは、お前とシたからでしょ。 どうせナス子の身体を気遣って~とかで先に起きて飯作ってたんじゃないの? あのクソ松の事だし」
「しっ……?!」