第11章 本日決戦日 チョロ松side
「ふぅ、よしよし、今のところは計画通りに事が運んでるぞ」
昼になり僕は待ち合わせ場所に着くと、ラッキーなことに椅子が空いていた為そこに荷物を置き自分も座る。
実は、ナス子とこの会場に来るのは初めてじゃない。
「もう何年前になるんだろ・・・」
僕がナス子姉と初めて会場で鉢合わせした日。
年月が経ちすぎて覚えてないけど、あの時はまだ僕もこういうのそこまで詳しくなくて・・・
適当なブースをブラブラしてたら気に入った絵があって、読ませてもらおうと顔を上げたら、その売り子さんがナス子姉で、二人でかなりポカンとしたんだよなぁ。
昔から漫画が好きだったり絵を描いたりしてたのは知ってたけど、まさかナス子姉が描いて売るとか。
ものっすごい早さで体全体を張って僕からBL同人誌隠してたな。隠せるわけないのに。
・・・なんて、あの時の間抜け面を思い出したらちょっと笑えてきた。
「チョロ松~~っ、おっ、お待たせぇぇ~!」
「そんな息切らして来なくても大丈夫・・・って、おまえどんだけ買ってんだよ?!」
「いや、色々歩いてたら気になるのがいっぱいあって、つい予定外の所で予定外の買い物を沢山してしまいまして・・・」
「お前なんの為にメモ作ってきたの?!馬鹿じゃん!」
B5サイズの本が入るくらいの大きさの紙袋二つがパンパンに膨れている。
何十冊入ってんだよコレ・・・
そりゃ息も切れるよな、この量じゃ。
「いくら楽しみにしてたからって買いすぎじゃない?こんなに買ったらまた部屋に物増えるでしょ」
「いやー、参りましたね。ハハハ」
「参りましたね、じゃないよ。午後もあるんだぞ?俺は手伝わないからなっ」
「えー、この前のスーパーの時は持ってくれたのにぃ」
「最初から俺に持たせるつもりだったなお前」
ギクリとナス子の肩が動く。図星だな、これは。