第11章 本日決戦日 チョロ松side
気が付くと既に入場開始時刻は過ぎていたみたいだ。
人と話しながら待ってると、待ち時間が短く感じるなぁ。
「ね、チョロ松は今日は何買うの? 前に言ってたあれ??」
「うん。それと僕の好きな作家さんがまた新しい作品を描くって言ってたからそれも。後はえーっと・・・」
言いながら僕は今日の作戦を書いたメモ帳を取り出した。
「うわっ、細かっ! 何これ、時間まで書いてあるじゃん、こんな細かい計画作ってきたの?!」
「うーん、毎回来てるし、大体の人数を想定してちょっと多めに見積もった時間で計画してみたんだけど」
僕のメモ帳を覗き込みナス子は目を丸くしている。
10ページくらいにびっしりと、買いに行く場所、サークル名、値段、時間も書いてある。
あ、昼休憩の時間もちゃんとメモしてあるから完璧だよ。
「さ、さすがチョロ松・・・」
ポケットからクシャクシャの紙を取り出した隣を見ると、アバウトにサークル名と場所、買うものリストを一枚のメモに纏めたナス子が言う。
これがこの前のスーパーで発揮されてればもっとスムーズに買い物出来たんじゃないのか。
だがしかし・・・
「汚いなぁ、相変わらず字まで汚いよね。読めない所もあるし。スマホにメモすれば良かったんじゃないの」
「自分が読めればそれでいいんですぅー、スマホだと電池切れたら嫌だし順番待ちの時はゲームやって待とうと思ってたからメモはアナログで行くの」
「・・・せいぜい迷子にならないよう気をつけろよ?地図も読めないんだから」
「大丈夫大丈夫、そしたら人に聞きまくるから」
「効率的なんだか非効率的なのかわっかんねぇなお前は」
会場の方に近づくにつれ、皆気持ちが逸るのか徐々に押し合い圧し合いの状態になってきた。
押したり走ったりするのはマナー違反なんだけどなぁ。
ギュウギュウに詰められて、ナス子は埋まってしまいそうだ。