第11章 本日決戦日 チョロ松side
「チョロ松引いてみる?案外激レアが出るかも」
「え、僕?」
姉さんはうんうんと期待の眼差しで僕を見つめてくる。
いや、僕このゲーム知らないし・・・レアとかそういうのもわかんないし。
「ガチャ欲センサーというものがあってだねチョロ松君。それを察知されたが最後、激レアは出ないという恐ろしいセンサーがあるのだよ・・・」
「は?」
「欲しいと思うと出ない、それがガチャ欲センサー! だからどうでもいいと思ってる人に引いてもらった方が意外といいの出してくれたりするんだよ~」
「いや、こういうのって、自分で回すから楽しいもんなんじゃないの普通」
「それはそうだけど。別に良いの出なくても責めたりしないから」
ほれほれ、と急かされて言われたボタンを押そうとする。
ま、待てよ。でもこれ本当に僕が押していいのか?
折角頼まれたんなら激レア出して姉さんに少しはいい所見せたい。
と、いうか僕が持ってない男だと思われる。
そこは回避したい・・・・
普通のガチャポンと違って中身見えないし、どんなタイミングで引けばいいのか。
「今?いや・・・もう少し・・・あと、少し・・・・・どうしよう」
タイミングを見計らえず指だけボタンの上に浮かせたまま止まっている。
いけない、緊張してきた。
たかがガチャ、ただのデータなんだコレは、緊張することない。
「チョロ松、はよ」
またもナス子姉が僕を急かす。
もうどうにでもなれと、目を瞑ってボタンを押した。
「!!!!!」
ギュっとナス子姉が携帯を自分の胸に戻し画面を見ると嬉しそうに声を上げ、僕の腕にしがみついた。
「ちょ、チョロ松っ!!!」
「わっ、何?! 何が出たの???!」
「当たり! 大当たり!! 引きがマジ神だよっ、チョロ神さまーっ、ハハーっ!」
そう言ってナス子姉は僕に深々と頭を下げた。
よ、よかった・・・どうやら満足な結果が出たみたい。
心の中でほっと息をつく。
ニコニコと本当に嬉しそうな顔をしている姉さんを見て、なんだかこっちまで気分が良くなった。
「良かったね」
「うんっ! ありがとチョロ松!」
すると、丁度列が動き出した。