第71章 【逆ハールート】主婦は偉大だ
「……カラ松は手伝ってくれたけど、おそ松はほとんど手伝ってくれなかったけどねっ」
顔をあげ、おそ松の手をペチリと軽く叩く。
その行動に、おそ松は別段気を悪くした様子もなく、ナス子の頭を撫で続ける。
「お前ねぇ、俺を誰だと思ってんのぉ? おそ松だよ? おそ松ってそういうことしないでしょー」
「アンタねっ、いらんキャラ設定を強調しすぎなんだよねっ」
撫でられている頭が気持ちよくて、疲れもありついウトウトと眠気に襲われるが、全員帰ってくるまでは起きていてあげようと必死に自分を鼓舞する。
すると、その様子に気付いた二人が、密かに顔を見合わせたが、ナス子はそれに気付く様子もなく、つい出てしまう欠伸を必死にかみ殺していた。
「チョロ松も言ってたけど、なんの用事かは知らないけどそんなには時間かからないよねきっと……早く帰ってこないかなぁ」
ヤキモチというわけではないが、せっかくみんなで過ごしているところに横槍を入れられてしまったような感覚がしてしまうのは仕方のないことだろう。
トト子の性格はナス子は知るところ。今更気にしても仕方がない。
仰向けになり、近くにあった枕を手に取ってぽんぽんと投げたり回したりしていると、不意にその枕を奪われ二人に上から見下ろされる。
「あっ、なにすんだーっ」
「ナス子、眠いのか?」
ナス子を見下ろしながら小首を傾げるカラ松。
「うん、ちょっとね、布団に横になってるとどうしても眠くなっちゃうのはやっぱりお布団を愛しているからだと思うんだよね……」
「ナス子~、眠いなら眠気覚ましでもするぅ?」
「眠気覚まし? するするっ、何? カードゲームとか?」
帰り際にカードゲームの話をしていたので、思わずぱっと顔を輝かせて起き上がろうとしたナス子を、おそ松とカラ松が同時に肩を押して制止する。
「え? なに? そういうゲーム? ふっぐぐぐぐぐっ 起きれぬ」
またもナス子は起き上がろうとするが、それも二人に制止され布団に仰向けになっている状態から動けない。