第71章 【逆ハールート】主婦は偉大だ
トボトボと歩いていると、途中トド松のスマホが鳴り、見ると画面には弱井トト子の文字が。
電話ではなくLIMEだったようで、トト子からの用事をトド松が読み上げると、全員は少しだけ困惑した表情で顔を見合わせる。
「今すぐ来いって……どうする? でもさすがに今はナス子姉もいるし……ねぇ?」
「ええ? じゃあ断るの? 怖っ! 僕は……やっぱり素直に行ったほうがいいと思うけど……」
「確かにっ! ぼくまた断腸するのしんどい! さすがにぃ」
桃、緑、黄色と彩りの良い松達がそう言うのを皮切りに、やはりトト子ちゃんの呼び出しは例え突然であっても断れないという雰囲気になる。
「ははは、気にしないでよ! 私だってトト子の事は理解してる訳だし、もしかしたら遅い時間に呼び出すくらいだから逆に考えて重要な内容な可能性もあるしね? 皆行ってきていいよ? 私夕食の片付けしないといけないしさ」
小さい頃から染み付いた習慣というか、習性というか、とにかく馴染んでいるものはそう簡単にはかえられないものだ。
だがこの時間に恋人を一人で家に帰す訳にもいかない。
本人は慣れている為か気にする様子は全くなく見えるのだが、こちらが心配になってしまう。
しかも女性の一人歩きにプラスして風呂上りとなると余計に危ないのではないかと六つ子の、男性不信であるナス子への過保護な気持ちが蘇る。
道端で話し合いが行われ、結局……。
「ごめん、じゃあちょっと行ってくるよ。さすがにこの時間だから、トト子ちゃんも思い切った用事ではないだろうし、すぐ戻れると思うけど」
「俺はついでに路地裏の猫の様子見てくる……帰りは一緒に帰ってくるから」
「ナス子姉、もしこの二人に変なことされそうになったら、すぐ連絡してねっ? テレポート使って帰ってくるから」
「行ってきマッスルマッスルゥ!!」
「寧ろ私について来てくれるヤツが居た事にビックリだわぁ、行ってらっしゃ~い! 皆も気を付けてね?」