第71章 【逆ハールート】主婦は偉大だ
お泊り二日目の銭湯。
ナス子と別れ、毎度男湯に並んで浸かる六つ子。
もう何度目になるかもわからない話題を、顔を突き合わせて始めている。
「はい、松会議始めるよぉ~」
「おそ松兄さん、なんか会議始めるの雑になってない?」
「「「「うぇ~い」」」」
「皆普通に答えるし! それでいいの?!」
安定のチョロ松が突っ込みを入れるのだが皆まだほろ酔いの為か気にしていない。
「まぁ、皆わかってると思うけどぉ~……今日のお題はアレしかないよねぇ」
「フッ……アレ、か。 オフコ~ス、理解しているさ」
「アレってやっぱアレの事だよね? そろそろ会議くるとは思ったけどさぁ」
「そう、ナス子と過ごすのが誰かって事……」
「はいはいはーい!! 一番早いのは、ボクだよぉ!」
「あのねぇ、十四松兄さん! これは野球でもないしカーレースでもないからね?!」
「んー、でも一番早いのはボクだよ!!」
「ヨーシ、ヨシヨシ十四松、落ち着けぇ、いい子だ十四松~」
俄然一番を譲ろうとしない十四松の顎を一松が撫で、この場の十四松の上がったテンションを治める。
でなければこの会議は始まる事も終わる事も出来ないだろう。
議題は当然、誰が一番に童貞を卒業するか、なのだが、一番に童貞を卒業するというのはイコールナス子の処女をいただくということになるのだ。
「アイツが一緒にいるから中々会議出来なかったけど、やっぱ俺の予想は当たりだったなぁ! な?! アイツ処女だったろ?!」
「確かにおそ松の予想は当たっていたな……だがしかーし! 俺にはそんな事は関係ない。ナス子がヴァージンだろうとなんだろうと、俺はナス子を愛せる自信はあるぜぇ~? フフーン」
「カラ松兄さん、それ旅行の時も言ってなかったっけ?」
「ん? そうだったか? 忘れた」
得意気にカラ松は額に手を当ててキメポーズを決めているが、心底嫌そうな顔でトド松が目を細める。