第71章 【逆ハールート】主婦は偉大だ
「ひはーっ、ひはーっ、お前っていうかお前らも見てたなら止めろよ! 酷くね?! 俺が奢った寿司なのにっ」
「「「「「「アザーッス」」」」」」
「言葉と行動が全然違ぇぇえぇ! ったく、ナス子! 今度は普通のちょうだいっ」
「は? まだやるの??」
「今のは全く色気もムードもないからノーカン!! ていうかただ俺を弄って遊んでただけだろがっ」
おそ松は6人揃うと途端構ってちゃんの甘えん坊に変わるなぁと思うと、長男と言うのは何かしら顔がいくつかあるのかなぁと不思議になる。
だが、今思えば皆もそうだ。
二人きりになる時と、全員でいる時だとやはり少し違いはある気がする。
それも含めて愛してしまった訳だから沢山の顔を出されて行くと本当に心臓が持たなくなりそうだ。
きっとまだまだ自分の知らない顔もあるのだろうと考えるとやはり照れ臭くなってしまうし緊張する。
また大トロを箸で取り、今度はちゃんとおそ松の口の放り込んでやる。
「んぐ…………モグモグ……ゴクン、うん! 美味い! はい、次~」
「おいそこのクソ長男~、お前ばっかいい思いしてんじゃねぇぞコルァ、ナス子、俺にもしてよ」
「ほぁ?! どっ、どどどうしたちょろまぁつ?!」
酔いモードのチョロ松は酒の力を借りて自分にも口に入れてくれと所望する。
きっと酔いが冷めたと時に自己嫌悪に走るのだろうなと思うが、それはそれで面白いので素直に口に放り込んでやった。
その動作をゴクリと見ているカラ松と一松。
自分達も同じ事をして欲しいのだがそれがどうしても言えない。
横目に見て、その表情が可笑しくなってしまい、笑いがナス子に漏れる。
「はい、カラ松! どーぞ!」
落ちないように手を添えてカラ松の口元に持っていく。
一瞬身じろいだカラ松だったが、口元がプルプルと緩んで、上がっている様子に、やはり予想は当たっていたのだろうとナス子は思い笑顔のままはよ食えと促した。
「えっ、あっ……フフン、ナス子……本当は俺にこれがしたくて他のヤツにもやっていたんだな、ん~? 本番と言うヤツか……ぐふっ」
またイタイ事を言い出しそうなので無理やり口に突っ込んでやるナス子。
突っ込まれた相手は咽てはいたが嬉しそうではあったのでヨシとする。