第71章 【逆ハールート】主婦は偉大だ
今度は一松だ。
皿にいくらを移し渡してくれる。
しかしいくらの形が不思議だ、何故か形状が猫になっている。
「ちょ、ちょっとぉ?! これどうやったの?! 一松マジック?!」
「へへへ、企業秘密だね」
今朝のおにぎりといい、寿司といい一松の猫スキルは高い。
少し食べるのがまた勿体ないと思ってしまうが素直に口にする。
「お前らナス子を甘やかしすぎだからなっ、ナス子だっていい大人なんだし猫形状の物は作れないにしても自分が食べたいものくらい自分で食べれるからね、ほらこれも食べろよ」
オラつき気味のチョロ松が文句を言いつつもまた一つネタを更に投下された。
「ありがとう? ……皆、自分のもちゃんと食べていいからね?! 私ばっか悪いんだけど……っ」
「ナス子ナス子!! 俺にあーんしてよ!」
チョロ松の事などおかまいなしにおそ松がナス子の後ろに寄って口を開ける。
その様子が堪らなく可愛く見えてしまうナス子はさっきのカッコ良かったコイツはどこに行ったのかと思ってしまうが、これはこれでギュっと胸が締め付けられた。
「おそ松の癖に、くそう……ブツブツ。はいはい、アンタは大トロが好きなんだよね確か………! ふふふー……」
「なんだよ、はーやーくー!!」
後ろでナス子からのあーんを待つおそ松の大トロに一緒についていたわざびをバレないよう大量に塗ったくってやる。
残りのメンバーもそれを見てクスクスと肩を震わせたがおそ松は気づかない。
「はーい、おそ松! あ~ん」
「あー………ん?………んん!? ブェッホっっ、辛━━━━━!!」
床を転げまわるおそ松を見て既にお茶と水を汲んできてくれた十四松も混ざりケラケラと大爆笑だ。
酒の力も入り箸が転がっても笑い出しそうな面々はちゃぶ台を叩き笑いと共に拍手をした。
「おまっ、お前っっ! 殺す気ぃ!? 水っ、水ぅううう!」
「あい! おそ松兄さん、水どーぞっ」
酔い覚ましの為に持ってきていた水だが、ある意味水も早めに持ってきて良かった。
まぁ、ナス子自身がやった悪戯ではあるのだが……。