第71章 【逆ハールート】主婦は偉大だ

「そうだぞ～おそ松、それに一番カッコイイ男は次男であるこの俺ぇ、カラ松さぁ！」

　カラ松はカッコイイ、頼りになる、優しいと言う言葉に弱い。
　言われると照れる癖に他のヤツが言われるとすかさず対抗してくる。

「は～、お前らなぁに言ってるかなぁ、いっちばんカッコ良くてマトモで常識人な俺が一番だろぉ～？　なぁ、コラ？」

「チョロ松兄さん酔うの早くない？！」

「………この中では酒弱い方だし仕方ないよね、モグモグ」

　まだ缶ビールを二本くらいしか空けてはいないのだが、早速チョロ松は酔い始めた。
　他のメンバーは一松は抜かし酒は強い方だ。
　これからまだまだ飲むだろう。

「お茶でも淹れておくかぁ～……」

　既に酔い始めたチョロ松を見て、リバースされたら困るとお茶と水を汲みに行こうとナス子は立ち上がるのだがその手を十四松が掴む。

「姉さん、いいからいいから！　ボクが淹れてくるよー！！」

「えぇ？　十四松が？！」

「えっ、どうしたの十四松兄さんっ！？　……あの冬の寒い時期に自分にだけ温かいスープを汲んできたりして自分のペースを常に乱さなかった待っている背中の十四松兄さんがっ……」

「待っている背中って何？！」

　トド松の突っ込みなど気にも留めず、十四松は台所へと向かう。
　逆にトド松の突っ込みにナス子は突っ込みを入れてしまうが、突っ込みや皮肉を諸ともしない十四松はさすがと言えよう。

「うーん、今日の十四松はいつにも増して優しいなぁ～……実は気の利く男の人なんだね」

　関心して十四松の背中を見送るナス子。
　それを見ていた5人は次々と口を開き出す。

「ね、姉さん！！　サーモン以外は何食べたい？　ぼくが取ってあげるよ～」

「え？　んー……玉子かなぁ。でも自分で取るよ、トド松。　子供じゃないんだし～っ」

「いいのいいの！　玉子ね、ハイっ！　あーん、して？」

　ご所望のネタを取ってくれると、トド松は箸をナス子の口に近づけて笑顔で首を傾げる。
　口はいつものアヒル口でニコニコとしていた。

「んん？　ありがとう？　もぐ……」

「えへへ、好きな人にこうやって食べさせてあげるって幸せだね！　ナス子姉♪」

「チッ、あざとい事しやがって……。ナス子、イクラも好きだったよね？　……はい、どうぞ」