第71章 【逆ハールート】主婦は偉大だ
おそ松が言いたい事はわかる。
ナス子もそれに気づいてはいたのだが、何でかどうしてか素直になりきれない。
多少は素直になれたと言えど、いつも喧嘩ばかりしていた相手が恋人になったからと言って、付き合ってからもその口喧嘩は滞在で、おそ松は皮肉を言うし茶化すし、その相手のナス子も文句を返してしまっている。
「そうでしょ、カラ松には頼りになるとか言うし、何かあるとすぐチョロ松に助け求めるし、一松には何されても怒んないし、十四松には基本的に甘すぎだよね! んでトド松にも!! 末っ子だからって好き放題させすぎじゃね?!」
さすがにそこまでの自覚はなかった。
しかし言われてみればそうかもしれない。
六つ子と言えど、他の5人に対してと、おそ松に対して……まるでおそ松に対してだけ態度が恋人と言うより幼馴染で弟に接するようにしていた気がする。
だが、恋愛感情があると言うのは嘘ではないし、この長男相手にドキドキだってしている、愛しいとも思う。
これが恋だとハッキリ言える。
だからと言って、態度を変えろと言われてもそれは急に無理な事で、ナス子が出来る事はおそ松が寝ている間を狙って甘える事くらいだった。
「えーと……」
「長男の俺の方が頼りになるし! 俺だって助け求められたら助けるよ?! まぁ、俺も手は出すけどさぁ……ホントにお前が嫌がる事はしてないつもりだし……つか、別に俺が甘えたいんじゃなくて俺に甘えて欲しいんだけど?! わかった?! なあ!?」
若干早口で言う彼の言葉に呆気に取られてしまいポカンと口を開ける。
矢継ぎ早に喋ったおそ松の顔は赤く、いつもなら絶対に言わないしナス子も聞けない言葉かもしれない。
おそ松自身も正直、ナス子にはあまり素直ではない為か、途端照れてしまい視線を外す。
「ぷっ……」
「おい、笑うなよ! 人が真剣に言ってんのにっ」
「あはは、だって……おそ松が、ははははっ」
一体何がおかしいのかとムクれてしまい、笑うナス子を見るがナス子は腹を抱えて笑ってしまっている。