第71章 【逆ハールート】主婦は偉大だ
「………あ、あれ? ねぇ、チョロ松」
「ん、何?」
「あの、きっ、昨日の手紙と紙袋がなくなってる、んだけど……」
「は?!」
居間を掃除していて思い出した、昨日はあれが目に入るのが嫌で二階に上がったのだが、思い返してみれば朝食の時点からその存在はなくなっていた気がする。
「チョロ松が不思議そうな顔するって事は犯人はチョロ松ではないという事か……」
まるで探偵にでもなった気分だが、残りの5人が持ち出したとして誰が持っていったかなど予想がつかない。
だが大方セクハラ代表のおそ松かなとは思うのだが、おそ松、十四松は後から登場した。
と、いう事は他のメンバーの可能性もある。
「うーん、ま! 私の目の届かない場所に置いてくれたならいっかー」
「ほんとにそれだけで持ってったのか謎ではあるけどね」
発言にビクリと身体を強張らせる。
今朝恋人達と向き合う覚悟はした。
したのだが、やはり緊張はしてしまうのは仕方ない。
「ここは片付いたし今度は二階の掃除行こうかな」
「━━━━━━ま、待った!! 二階はいい!! ぼ、僕らが後で片づけるからっっ」
おっと、いきなりここで不機嫌だったチョロ松が普通に戻っている。
何やら怪しいとも思うがもう成人を超えた男性、きっと見られたくないものもあるのだろうと思うと掃除も面倒だった為救われたと息を吐く。
居間も片付き、他の場所もあまり汚れてはいなかった為掃除もひと段落がつき、今はチョロ松と二人でお茶をすすっている。
「ぶっちゃけさ、嫌い? 僕の事」
「は? き、嫌いとかではないですね」
「敬語になっちゃったよ、そこは違うって否定してくれると思ってたんだけど」
「てか嫌いなら付き合ってないし、好きだから一緒にいるんでしょう、わかれ馬鹿で鈍感男め!」
嫌いと勘違いされると少々ムカつきを覚える。
どうして好きと告白しているのにそういう思考になるのだろうか。
チョロ松も一松と似ている部分があって自分に自信がないからこそ口で告げなくてはわからないのだろう。