第71章 【逆ハールート】主婦は偉大だ
「ね、ねぇ! 他の皆は?!!」
「あぁ、他のヤツは煩いから追い出した。 ちょっと金銭的にキツかったけどパチンコなり釣りなり行ったんじゃない?」
「……っ!! アンタわざと皆の事追い出して━━━━━━んっ」
「……だって、お前は僕のでもあるでしょ? ……その生意気な口、塞いであげるよ」
「や、やだ! 服に手を突っ込まないでよっ変態チョロ松!! キスは許してもこれ以上はまだ━━━━━━っ」
いつもは奥手で兄弟の中では一番手を出そうとしないチョロ松がナス子の服に手を突っ込んでくる。
勿論ナス子は身じろいでそれを制すのだが、力では適う訳もなくその行為は止められない。
「やめて……っチョロ松!! 今はダメっ、まだやる事も残ってるんだからっっ」
「はぁ? やる事ってなに? これ以上に大事な事なんてある訳?」
不服そうな顔のままのチョロ松だが、一応聞く姿勢は持ってくれているようで安心した。
「そ、掃除しなきゃ、部屋の……」
「あぁ、そっか母さん達に頼まれてたもんね宜しくって、未来の嫁でもある訳だしそれくらいはしないといけないかぁ……」
なんとか納得してくれたようで手を引っ込めてはくれるがまた唇が重なる。
「もうハチミツレモンの味はしないね?」
「さすがに時間も経ってるしね、えと、出来ればチョロ松様! お掃除手伝っていただけますかー?!」
抱きしめられたまま全くムードのない頼み事をする。
てっきり文句を言って断られると思ったのだが、チョロ松は素直にナス子の上から退いてニヤリと悪い笑みを浮かべた。