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【おそ松さん】松野家と年上幼馴染(R18)

第71章 【逆ハールート】主婦は偉大だ



 一瞬三途の川を渡ったナス子。
 居間で意識を取り戻し起き上がると、部屋にはチョロ松しかいない。

「あ、あれ? ここは天国ですか? 天使にしてはムカツクへの字口の緑の男がいるんですけどっ」

「助けてやった相手に対して酷くない?! どう聞いても彼氏に言うセリフでもないよねそれ」

 壁に寄りかかって小説を読んでいたらしいチョロ松が勢いのある突っ込みをナス子に入れる。

「あっははー、ごめんごめん! しかしまさか飴で死にかけるとはねぇ、よく飴や餅を喉に詰まらせて~とか言う事件あるけど自分が体験するとは思わなんだ~」

「ったく、気を付けろよ? いくら馬鹿だとしてもそこまで馬鹿だとは……」

「だって十四松が急にあんな事するから!!」

 勢いで言ってしまったがやらかした。
 いくら6人で付き合ってると言えど、どこで何をしたかなど報告する必要もないし出来るなら知られたくはない。

「あんな事? あんな事ってなに?」

「えーっと、飴くれた」

「で?」

「………………その小説面白い?」

 余計に口をへの字に不機嫌顔になったチョロ松の言葉をはぐらかすように視点を変えて聞いてみる。
 が、やはり思っている事はバレているらしく目がジトリとナス子を睨んだままだ。

「面白いけど、小説よりそっちの展開の方が気になるんだけど?」

「あー、あはははは、ちょっとキスしただけっすよ先輩~」

「へぇ~……、お盛んな事で」

 その一言の後、気まずい沈黙が流れる。
 これは多分怒っているか面白くないかのどちらかだとナス子はわかってはいるが、なんと答えていいものか。

「あ、あああ味見をしてたんだよ、十四松は! ハチミツレモンのっ」

「二人で口内を弄りあって溶けていく飴を堪能したって事ね、破廉恥だなぁお前ら」

 やはりチョロ松の言い回しはいつもお前の方が破廉恥だと突っ込みたくなる台詞が多い。
 けどやった事は嘘ではないし否定できないので押し黙る。

「別に恋人なんだからおかしい事じゃない、っていうか……」

「じゃあ、僕にだってそれをする権利はあるよね?」

 パタンと小説を閉じてチョロ松がナス子の身体に近寄ってくる。
 途端に脈が跳ねるが抵抗する意味もないのでわずかに緊張している自分を落ち着かせるように下を向いた。
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