第71章 【逆ハールート】主婦は偉大だ
ゴミをまとめ、汚れてしまった手を綺麗に洗って二人で縁側に腰を下ろして一息いれる。
「ふー、ありがと十四松ー、おかげであっという間に終わっちゃった」
「どういたしまして!」
「なでなでしてあげよう~」
言ったとおり、十四松のあたまを撫でると、十四松は嬉しそうに目を閉じて笑う。
可愛らしい十四松に、思わずナス子も目を細めて愛おしい気持ちが溢れ出して来る。
撫でていた手を止め、頭に口を押し付けるだけのキスをすると、十四松が顔を上げて満面の笑顔を向けてくる。
「姉さん、姉さんもね、今日いっぱい頑張ってるでしょお? だからね、ぼくご褒美持ってきた!」
「ご褒美? なんだろ?」
十四松の言葉に小首を傾げると、手を取られてそこに何かを握らされる。
見ると、キラキラと綺麗な包装紙に包まれた飴玉が一つ。
「疲れた時には甘い物!」
「あははっ、ありがとー十四松っ! 嬉しいっ、早速いただいちゃおっかな」
「どーぞー!」
包み紙を破かないように丁寧にあけ、飴を口に入れると、甘酸っぱい味が広がって、疲れた身体に染み渡っていく。
「んー、レモン味? 美味しい~」
「はっちみっつレモーン!」
「包み紙もキラキラしてて綺麗、黄色がかった虹色で、飴もレモンで黄色で、十四松カラーだね」
「いやぁ照れますなぁ~」
少し大きめの真ん丸い飴をコロコロと口の中で転がして堪能していると、じっとこちらを見つめてくる十四松にまたも首を傾げる。
「なに?」
「美味しい?」
「うん、美味しいよ。十四松のぶんはないの?」
「それは姉さんのご褒美だからっ」
そう言いながらも、穴があくのではないだろうかというほどじーっと見られていると、自分ばかり美味しいものを食べているという事実に落ち着かなくなる。
「姉さん」
「う、な、なにっ?」
「味見させて!」
「へ?! ど、どうやっ………て、んっ!」
突然強く体を引かれ、唇を奪われる。
間髪入れずに十四松の長い舌が侵入してきて、思わず目をキツク閉じる。