第71章 【逆ハールート】主婦は偉大だ
「どっかの亀の甲羅背負ったエロ仙人かアンタは! パフパフすなっ!」
「かめ○め波打ちてーね!」
「通じたっ!」
「姉さん! 草むしり手伝うよ~!」
そう言って、長い袖をそのままにブチブチと高速で雑草を抜き始める十四松。
黄色い袖がどんどん黒く汚れていってしまっている。
「ストップストップ十四松! 袖っ! 袖まくってからにしようか!」
「袖?! あ~」
「まったくもー……、ほら、やってあげるから、両腕出して」
「おなしゃす!」
すっかり土まみれになってしまった袖を軽く払ってから、くるくるとカラ松のように腕まくりにしてあげると、十四松も同じことを思っていたようで、
「あはは、カラ松兄さんみたいっ」
「ホントだね、腕まくりといったらカラ松、みたいなところあるもんね~」
「兄さんてなんでいつも腕まくりしてるんだろう?」
「さぁねぇ? 男らしい感じに見えるからかな?」
「腕まくりって、男らしいの?」
「う、うーん……私は別にそうは思わないけど……なんだろうね、イメージ?」
「ふぅん?」
「よし、出来たっ、じゃあ雑草取り再開するぞーっ」
「ヨッシャーぁ! よしこいこらー!」
またも手で雑草を抜く、というよりは土を耕し始める十四松。
あんなにザクッザク掘って、しかも素手で。
手や指が切れちゃったりしないだろうかと心配になったが、十四松はなんのその。
「大丈夫だよっ! ぼくの手は特注品だから!」
「特注品?! 手が特注品とはこれいかにっ?!」
「あははっ、気にしない気にしないっ!」
確かに、十四松の言うことをいちいち気にしていたら宇宙の論理まで飛んでいきそうなので、ここは言われたとおりに気にしないようにする。
「怪我しないでねっ」
「大丈夫ー!」
そんなこんなで、十四松が土を柔らかくしてくれたおかげで、元々そんなになかった雑草はあっという間に除去され、予定よりかなり早く作業を終えることが出来た。