第71章 【逆ハールート】主婦は偉大だ
結局、まったく休むことは出来ず、今度は庭で草むしりと片づけをやることに。
普段から松代がきちんと管理をしているのだろう、雑草はすぐに生えてしまうのは仕方がないが、綺麗に剪定されていてめぼしい雑草を抜くだけの作業なのですぐに終わりそうだ。
「さてさて、温かいうちにちゃちゃっとやっちゃお~っと」
借りた軍手を装備してゴミ袋を広げ、雑草が目立つ場所から作業を開始する。
普段土仕事などしないナス子。
どうしても効率が悪くなるのは否めないが、やる気だけはあるようなのでそこはしっかりと評価したい。
「結構根っこから引き抜くって大変だなぁ、ブチって切れちゃう……」
「姉さん!!」
「ぎゃっ!!」
うずくまって地面を見ていたところに、急に横から十四松の顔が現れ、びっくりして尻餅をついてしまう。
「草むしり? ボク手伝うよ!」
「ありがとう十四松! でも普通に登場して! メッチャびっくりしたから! 心臓止まるかと思った!」
「マジで?! 姉さん心臓止まっちゃった?!」
慌てた十四松がナス子に抱きついて左胸にピッタリと耳をあてる。
「わっ! ちょ、ちょっと十四松っ」
「動いてる! ドッキンドッキンいってまっせ!」
「そりゃそうでしょうよ、ホントに止まってたら死んでるからっ……ちょ、十四松! もうわかったからいいでしょ! いつまで胸に顔をっ!」
「こうするとね! きもちいいっ」
「ぬああああっ!」
両手で胸を前に寄せてあげて自分の顔を挟む十四松。
その触り方にいやらしさがなかったので何とか力づくで十四松をはがし、少しだけ距離を取ることに成功した。