第71章 【逆ハールート】主婦は偉大だ
「おぇっぷ……じゅ、十四松! 回転早い、胃が逆流しそうっっ」
「あ! ごめーん、姉さんの身体気持ちいいからギュってしたくなっちゃったー!」
「転がす意味は……」
やっと回転地獄が終わり頭がグラグラとしているが、体力を消耗し動けないまま十四松の背中に手を回す。
「ないね! でも楽しいから!!」
「そうですか、楽しいっすか、アハハハ……ハハ」
照れている訳でもなく、ただただ疲れてしまった。
可愛い弟だが恋人、この十四松を相手にすると一番体力を吸われるとナス子は浅く息を吐く。
「十四松一人占めはズルくない? こいつらだって我慢してる訳だしさ」
「またそんな言い方してぇ、言ってるチョロ松兄さんもナス子姉に触りたいとか思ってる癖にぃ~、素直じゃないんだからさ~」
「そんな事言うなら俺だって相当我慢してんだけどぉ?! 十四松、ナス子、俺も混ぜろよ! 俺無視して二人で遊んでんじゃねぇーっ」
十四松とただ重なっていただけなのだが、今度はおそ松までもが乱入し何故か十四松の上に重なる。
一番下にいる恋人であるハズのナス子は二人分の体重が乗り押しつぶされそうにグェっと呻いた。
「なにをしてんのあの3人は……ミケ子、おいで」
一松は特に何も考える事もなく呆れ口調でミケ子を抱いて寛いでいる。
トド松もスマホを弄り気にしてはなさそうだ。
ただチョロ松だけは少し不機嫌そうな顔をしながら雑誌を読みつつもその様子を見下ろしていた。
「アンタ達、重い!! 重いし潰れるんだけどっ、チョロ松ヘルプヘルプ!!」
「だからさぁ、何でいつも僕にばっか助け求めてくんのお前!」
「この中ならまだ一番止めてくれそうなのがアンタだからでしょうがっ、潰れる……つぶれ……ぐぅ」
まるで小学校か幼稚園児を相手している先生のような気分だ。
3人の男女が重なって昼間から一体何をしているのだろうか。
何をしてほしい訳でもないのだが休憩したかったハズのナス子は、全く休憩出来ておらず大きく息を吸って叫ぶ。
「も━━━━━!! 全然休憩できなぁああああい!!」
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