第71章 【逆ハールート】主婦は偉大だ
しかもどの洗濯物をどれに干して……など、場所もわからなければ効率のいい干し方すらわからない。
日頃のカラ松には感謝だらけである。
「カラ松、私カラ松がいてくれてほんっとーに良かったよ!!」
「えぇ?! 何を突然言い出すんだナス子」
外の気候の気持ちよさと洗濯を終えた気持ち良さが交じりウンと大きく伸びをしながら笑顔で声をかけた。
「あ、今日だけじゃないよ? いっつも本当に感謝してるんだからね! まぁ、ほんとは私がそろそろちゃんとした自立をしなきゃいけないとは思うんだけどさぁ~、つい甘えちゃうっていうの? カラ松優しいし……へへへ」
「優しい俺はカッコイイからな、フフ……そうか、甘えたくなるか、いつでも俺の胸に飛び込んできてくれて、いいんだぜぇ?」
「あ、またイタくなった」
この高低差はなんなのだろうか?
急にイタくなったり普通に戻ったりとカラ松は面白い。
「なっ、今度はどこを痛めたんだっ」
「ギャー!! ストップストップ! また触ろうとしてるからっ」
夢中になるとすぐに自我を失うカラ松の胸を両手で押し返すのだが、その手をカラ松が握る。
「ん? どしたの??」
「ナス子……、聞いて欲しい事がある」
今度はイタくない方だ。
自己分析するのがちょっと楽しくなってきたナス子なのだが、真剣な瞳で見られるとこちらはドキリとしてしまう。
風が吹き、布団のシーツが邪魔をして二階の部屋からベランダが見えなくなるとカラ松は小さな声で今日何度目かの同じようなセリフを口にした。
「その、ナス子は……俺達、俺に触れられるのは嫌か?」
「は? な、何で?! っていうかもうアンタに限っては結構な数で触ってきてる気がするけど?! あと今日これ聞かれるの三人目なんですけどっっ」
全く色気もなく返してしまった。
どうして自分はいつも兄松達には素直になりきれないのだろうかと頭を抱えたくなる。
しかしナス子から口にされた言葉にカラ松はあまり面白くなさそうな顔で眉を顰めた。