第71章 【逆ハールート】主婦は偉大だ
「ふぃ~、終わったよ。トド松」
「え、終わった? じゃ、じゃあ」
ナス子が振り向き声をかけると暇そうな顔もパっと明るくなり笑顔に変わる。
「……っ!」
トド松が立ち上がるよりも早く、自分の顔を近づけて自分の唇と相手の唇をちょんと軽く重ねてみた。
自分からというのはなんと照れ臭いものなのか……。
「へへっ、手伝ってくれてありがとね! じゃあ、私着替えてくる~、トド松も早く着替えなよー!!」
照れているのを隠すかのように足早に台所を後にしていく。
素直になるって難しいんだなぁと内心考えはするが呆気にとられたトド松の顔は可愛くて面白かった。
「えっ、え━━━━━?! ナス子姉、後で触っていいって言ったのにズルくない!? …………ちぇ~、なんだよこれ、調子狂うなぁ……もーっ」
文句を言い、不貞腐れた顔はしていたが、ナス子が部屋を出て行くと自分の唇に手を当て、へへへと嬉しそうに顔を緩めテーブルに突っ伏すトド松なのであった。