第71章 【逆ハールート】主婦は偉大だ
発言にムカつきながらナス子もオニギリを口に運ぶ。
形状が形状なだけに少し食べるのも勿体ないとは感じてしまうのだが。
「猫型ってだけで特別感が出ると言うか、朝から和むわぁ~」
「そう? 別に普通じゃない?」
褒めるとすぐ照れてしまう一松は誤魔化すように口の中に朝食を詰め込んでいく。
「一松ったら照れなくってもいいじゃーん! オニギリ美味しいっす!」
「もぐ……ゴクン、そ、そう……良かった」
「あれ? 卵焼きじゃなくてスクランブルエッグって珍しいね、母さんいつも作らないのに」
さすが目ざとい末っ子、トド松が痛い所を突いてきた。
一瞬ググっと身じろいだが、ここは失敗したとは言いたくない。
この場はもう適当な言い訳を述べて切り抜けようと思いナス子は身振り手振りを使い説明を始める。
「いやいやいや~、た、たまにはこういうのもいいんじゃないかな?! 海外だとスクランブルエッグって常識でしょぉ? ね、ね?! ブレイクファースト イズ スクランブルエ~ッグっ」
「なに言ってんのお前……。 海外だとこれが普通なのぉ? つかお前海外とか行かないしそんな知識すらないだろうが」
「~~~い、いいの! 私が食べたかったんだからぁ」
「うん、美味いよ姉さん!! ジャリジャリもしないししょっぱくないよっ」
「十四松……」
今日も安定の十四松はまたもナス子の好感度がプラス5されている。
「まぁ、そうだね。 他のも食べれるしナス子にしては上出来なんじゃない? 母さんの飯に比べると味は落ちるけどさー」
「チョロ松~、長年の主婦様と私を一緒にしないでもらえますかね?!」
「しかしナス子もやろうと思えば出来るんだな、いつもマンションでは甘やかしてはいたがこれなら多少は自分でも出来るようになるんじゃないか? ん~?」
朝から次々と出てくる皮肉めいた言葉に腹が立つが、今までが今までの為に仕方がない。
6人の辛口は今に始まった事でもないし、こうやって大好きな相手達に朝食を作るのも悪くないと思った。