第70章 【逆ハールート】花見 翌日のお泊り
「んっ」
「……ん、許可はいらないんだよな?」
ニコリと優しく笑いかけて、瞳をまっすぐ見られると、全く照れる事のないカラ松にこちらが逆に恥ずかしくなってしまう。
やはりハグ、キスまでは許してはいたとしても一番最初に行動に起こそうとするのはコイツだった。
このままではもっと激しいキスをされると予測するナス子はカラ松の腕の中で暴れ、まるで打ち上げられたマグロにでもなったかのようにビチビチと抵抗する。
「粋が良すぎにも程があるぞナス子……」
「いや、お前が悪いんだろうが!!」
チョロ松に突っ込まれ、何の事かと首を傾げるカラ松をミケ子を抱いたままの一松が蹴り倒す。
一度床にミケ子を下ろし、暴れていた新鮮なマグ……ナス子に声をかけ落ち着かせた。
「大丈夫? ナス子。やっぱクソ松はクソ松だったね。俺も……俺達も同じ事は考えてるけどアイツ脳筋だから思考より身体が先に動くって言うの?」
「大丈夫だよ、普通にキスしただけだしね、ハハハ! ちょっと照れ臭かっただけだしっ」
「じゃあ、俺ともしてくれる?」
「おっとぉ? この流れで?!」
「うん、この流れで……」
いくら六人が恋人と言えど酒でも飲んでなければ恥ずかしい。
だがこれも自分が選んだ道である。
目をギュっと瞑り一松からのキスを待つ……が、中々唇が重ならない。
不思議に目を開けるとニヤニヤした表情の一松がコチラを見ているままだ。
「え、ちょっと?! 冗談で言ったの?! は、恥ずかしいんですけどー!!」
「冗談じゃないよ? それに俺からとは言ってないし」
「は、は?! わ、私からするの?!」
「えー、いいなぁ一松!! ナス子俺にもしてよ!」
思えば自分からキスなんてした事がない、好きと言いながらそれもどうかと思うのだが恥ずかしいものは恥ずかしい。
しかし他の六つ子達もその一松の発言にゴクリと喉を鳴らし自分もと近づいてくる。
「ほら、早くしないと順番待ちがいっぱいいるし俺も我慢出来なくなっちゃうよ?」