第70章 【逆ハールート】花見 翌日のお泊り
「んー、でも本当の事なんだろ? ていうか今思い返せばナス子が初めてなのって当たり前だよね。だって僕ら以外の男は皆苦手な訳だし……」
さもわかっているかのように口にする面々だが、さすがにそこまで気づいてはいなかった。
だが、逆にナス子が他の男性と……という事を改めて考えると、男性不信で今まで彼氏らしき相手もいないナス子が初めてと言うのは当たり前だったなと納得してしまう。
「ナス子、俺達はそんな事でお前に呆れたりなどしない、不安になる事などないさ、何故なら俺達だって不安だったからだ!」
「不安? な、なんで?」
「そりゃぁ、そうでしょ~! だって付き合ってから結構経つのに触ったら殴るわ蹴るわの暴行三昧。 俺らの事やっぱ怖いのかって不安にはなるよねぇ」
「ナス子姉がぼくらの事好きって言うのはわかってるけど、なんか腑に落ちない所があったのはそういう事だったんだねぇ、も~! もっと早く言ってくれればいいのに、やっぱり残念姉さんだよねぇ」
付き合ってからと言うもの、愛しい気持ちばかりが溢れ、それでも自分に自信がなく嫌われる事を恐れ、言うに言えなかった一番の問題を次々と言葉で救い上げてくれる大好きな恋人達に我慢していた涙が一気に溢れ出てしまう。
「……うぅっ、ぐぅっ……」
「可愛くない泣き方だなオイ、もっと女の子~って感じに泣いてくんない?!」
「~~~っ、煩い!! ズビーっ」
「アッ、人のパジャマで鼻水吹くなよ汚っ!!」
抱き締められていたおそ松の胸で鼻水をかみ、涙をグリグリと擦りつけ顔を離そうとするのだが、文句を言うおそ松はナス子の身体を離さない。
「お、おそ松! 私の鼻水が私の顔ににつくから離し……」
「お前が勝手にやったんだろが! つかこの状況で離すとか無理っ、お前震えてるし」