第70章 【逆ハールート】花見 翌日のお泊り
ミケ子を抱きしめて自分がどうしていいかわからず天パるナス子。
恋人達の言葉に多少納得がいくものといかないものもあるのだが、約束は約束。
そして自分もまだ一緒にいたいと思っているし久方ぶりの泊りを楽しみにしていた。
一番胸に刺さったおそ松の言葉は、確かにいつも逃げてばかりで付き合ったからと言って関係を進展させようとしない自分も悪い。
それにこの用意された物達は居間に残し上に上がると言うのだからきっと大丈夫だと心の中で納得させる。
「ご、ごめん! 急な手紙の内容にビックリしたっていうか……いや、内容的にはいつもの事ではあるんだけど、まさかこんな物まで用意されるとさすがに動揺を隠せないっていうか~……年甲斐もなく恥ずかしいですなぁ、あはははは」
「まぁ、そうだよねぇ。 久しぶりの泊まりでいきなりこんな流れになって、ナス子姉でもビックリしちゃうよねぇ~……、でっでも心配しないで! ぼくらはナス子姉が大丈夫って言うまで何もしないからさっ」
言うトド松は笑顔ではあるが逆にその笑顔は何故かいつもより元気がなく見える。
何故、自分がここまで六人に対して警戒しているのか、それを言わなければいけない時が来たのかもしれない。
寧ろ今が一番告白するにはいいタイミングなのかもと思うナス子。
多少震えはあるものの、意を決して口を開く。
「あああ、あのっ!! 私、実は皆とそういう関係になる事で心配していた事がありまして……っ」
「ん? なんだよ急に、とりあえず二階行こうぜぇ、こんな所にいてもアレが目に入って落ち着かないしさぁ」
おそ松が口を開くと、少し気まずそうに俯くナス子の頭に片手を優しく乗せ撫でて行きながら前を通りすぎ居間の扉を開ける。
「お、おぅ?」
まるでオットセイになってしまった。
いくらいつも喧嘩をしている二人でも、こんな時は一番に空気を読んでくれるのがおそ松だ。
普段はだらしがなくて、強引で、煩くてデリカシーなど一つもないセクハラ男の癖に侮れない長男。
その長男が階段を登っていくと、ナス子と他の兄弟達も二階へと共に上がって行くのだった。