第70章 【逆ハールート】花見 翌日のお泊り
「………仕事が……ていうかいつの間に私の職場の連絡先をぉ?!」
「それもそうだけど突っ込みどころが多すぎて何処から突っ込めばいいのかわっかんねぇ」
呆れ顔のチョロ松がそう言うが、勝手に仕事を休まされたナス子はそれどころではない。
「松代さぁぁぁぁん!! 繁忙期じゃなかったからまだよかったもののっ……なんという強引なことを……!クビになったらどうするのぉ? さすがはこの六つ子の母親っ! 強い! 色んなことがっ!」
思わぬ事態ににヘタリと床に座り込む。
すると居間で一人大人しく待っていたミケ子が近寄りナス子の頬を舐めた。
「ミケ子ぉおぉ、今日は帰━━━━━━━」
「待ったー!! お前そうやっていっっっっつも逃げてばっかでズルくね?! 別に俺らも無理やり何かしようとかおもっ、思ってねぇし!」
おそ松はなんとかナス子を落ち着かせ、楽しいお泊りを続けたいようだがその言葉からは動揺が隠せない。
「そうだぞナス子、これは俺達が用意したものではなくマミー&ダディが用意したものだ……だから怖がる事はないんだぜぇ? ま、まぁ……もしもの時の為にってやつで……う゛ぅん!」
カラ松も同じように十四松の手に持たれるものを横目に困っているのだが何故か口端がひくついている。
「十四松、とりあえずそれ、袋の中に戻してくれる? えーっと、目によくないって言うか……色々とその、あれだし……そこに置いておこうか」
「股間押えて言ってる辺りもう何か妄想してるよねシコ松兄さん……大丈夫だよナス子、嫌な事はしないから。 多分」
「姉さん、せっかく久しぶりの泊りなんだしもっと遊ぼうよー!」
十四松はナス子を言葉で止めながらチョロ松の言う通りに、手に持つ物体を中へと戻しまたテーブルに置く。
全員がゴクリと軽く唾を飲み込みそれを見ないよう背を向けて立ち上がると、トド松が取り繕うかのように一番に口を開いた。
「ナス子姉、えっと、なんかごめんねぇ! ウチの親がどうしようもなくってさぁ~、ぼくら別にナス子姉にそういう事したくて今日家に呼んだ訳じゃないし……と、とりあえず二階行こっか? ね?」