第10章 秘密 一松side
「ちょっと! 淫乱ってなにさ?! 干物女は許してもその言葉だけは聞き捨てならないんですけどぉー!私がそんな事に励んでる女子にでも見えるワケ?そんなん出来たら彼氏の一人くらいできてるわっ・・・・・誰が彼氏いない終わってる干物女だコルァ!」
「いや、そこまで言ってない・・・で、質問の答えは?」
「まさかそんな誤解をおそ松だけでなく一松までしてた訳? 相手十四松だよ?!
あんた十四松と仲いいんだからわかるでしょうが。
ていうか松野家六つ子相手ってだけでもうないでしょ、私の扱い女的には圧倒的最底辺なんだから。
・・・・・・・・・・え、って・・・なに? なんでちょっと怒ってるの一松?」
いつものようにすぐ言い返してきたナス子だけど、俺の冷えた視線に気づいたのかビックリした顔でこっちの顔を見てきた。
机でガンガンやってたからだろう、デコから血が出てる。やりすぎ。
「・・・別に」
「でもなんかいつもよりちょっとイライラしてるっていうか・・・」
赤くなった理由にはなってない、なんだよあの奇行は。
俺の事なんて今はどうでもいいんだよ、今は俺が質問してんだから俺の質問に答えろよ。
一瞬ジロリと睨んでやるとナス子はビクっとして俺を見た。
多分俺の機嫌に怯えてるんだ・・・━━━━あぁ、ちょっと楽しくなってきた。
「俺がミケ子と二人で待ちぼうけ食らってる間に十四松と『秘密』の場所でお楽しみとはね、この家の主さんも隅におけないよね・・・」
「だーかーらー! 違うって言ってんじゃんっ」
「・・・じゃぁ、なんで?」
「何が?」
思った事を黙ってようと思うのに、そんな怯えてる表情を見てると虐めてやりたくなる。
いいね、その顔。
もっと怯えればいい・・・。
「顔がまた赤いよ、ナス子姉」
俺がフンっと口端を上げて言ってやると、また更に赤くなった。
「普通、人に猫預けといて自分は他の男とほいほい出かけて夕方まで楽しく遊んでるのっておかしくない?
そもそも誤解されるように顔を赤くするから疑われるんだろ?
言ってみろよ俺に、十四松とナニしてたのかを、さ・・・ヒヒっ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」