第10章 秘密 一松side
スコーン!!!と小気味のいい音が部屋の中に響く。
一瞬俺の頭の中は真っ白になり、気づいた時には頭上がズキズキと痛くなっていた。
「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ痛って」
頭を押さえて見上げると、ナス子が本を持ち俺を睨み見下ろしていた。
どうやら分厚い本の角で頭を叩かれたらしい。殺す気か。
「こんのドS一松がっ! 何が言いたいのさっきから? ナニもアレもしてないって言ってんでしょうが!!
っていうかさっきから大人しく聞いてればお前はあれか?私の彼氏か?! それとも十四松の彼氏なのか?!!」
・・・━━━━━━━━━━は?
「大人しかったっけ・・・?」
「そ、そこはおいといて! 別に私がどこで誰と何をしようと一松には関係ないじゃん。
そりゃぁ、ミケ子を預けて夕方まで遊んでたのは私も悪かったけど・・・。
ちゃんと謝ったし一松が預かってくれるって言ってくれたから、一松なら大丈夫だろうって任せて行った訳だしさ、ちゃんと夕方に帰ってくるとも言ったじゃんか!」
・・・確かにそうだった。
俺が自分で預かるって言って、それで夕方になる事も承知して、ごゆっくりとも言った気がする。
頭に血が上ってすっかり忘れてた・・・。
けど今更謝るのも癪だし、殴られたからおあいこって事で。
「で? 他に何が気に入らないワケ?」
俺を見下ろしたまま、何か言えばまた本を振り下ろすぞ?という空気をだしてくる。
これは痛いヤツだから回避したい、そもそも俺の好きなM的プレイはこういうのじゃないし。