第70章 【逆ハールート】花見 翌日のお泊り
「ねぇみんな! 銭湯行こう! 銭湯銭湯!!」
「ああ……そうだね、今日はナス子もいるし、早めに行ったほうがいいかも」
時計を見ると、時刻はすでに20時を回ろうとしており、各々銭湯へ行く仕度を整えると、全員で家を出てまだ肌寒い春の夜の空気を楽しみつつ目的の場所へと向かった。
「姉さん手ぇ繋ごうよ!」
「うん、いいよー」
「じゃあ、ぼくはこっち~」
銭湯に向かう途中、十四松とトド松がナス子の両手を握る。
以前この二人と買い物に行った時もこんな事があったのだが、その感情と今の感情がまた違う事も胸が温かくなった。
「あぁっ、だからお前らズルくなぁい?! しかも素直に手ぇ繋ぐナス子もやっぱ俺と扱い違うんだけど!」
「…………さっきいっぱい我儘聞いてあげたでしょ、それに普段の自分の行いをもっと考える事だねおそ松!」
「え~、普段? 俺なんもしてなくない?! あいたっ」
「もー、おそ松兄さん前向かないから電柱にぶつかるんだよ。 ほら、前向いて早く行くよ」
呆れたチョロ松がおそ松を叱る。
一松カラ松も素直に甘えられる弟達が羨ましいとは思うが、それは性格から口に出せない。
カラ松はいつものイタイ言葉を口に出せばいいものを……とは思うのだが、今の状況でそれも出てこないようだ。
ただチラチラと視線だけ移し黙々と道を歩いて行くのだった。