第70章 【逆ハールート】花見 翌日のお泊り
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仕度を手伝い、洗い物をナス子が終えるとまた上の階へと移動した七人は、満腹になった腹を抱える。
先程のループ地獄を思い出し、ナス子は少しだけ六人と距離を置いて座った。
「はー、食った食った。結構食えたなーナス子が作ったもんにしては」
「おそ松、アンタね」
「って言っても、どうせほとんど母さんがこしらえたんだろ? ナス子は材料切っただけだし、味付けも何もしてないんだから」
「失礼なっ! ちゃんと隣で見てたよっ!!」
「見てるだけって、何もしてないよね? 要するに。 どうせメモ一つとってないんでしょ?」
「うっ」
相変わらず口だけは真っ当な正論のチョロ松に何も言い返せず、だが何かを言い返さないと気がすまないナス子は必死に脳を回転させるが一向に良い返しが浮かばない。
「………あ、味見したし!」
「味見ならボクもよくするよ姉さん!」
悪気のない十四松の同意がナス子にトドメを刺す。
「がー! しょうがないじゃんかー! 松代さんが作った方が普通に美味しいしっ! やれることはやったもんね! それに、これからこうやって教わりに来るんだから、最初から何でもかんでもやれって言う方がおかしいってもんでしょうよ!」
「ま、そういうことだね……指切らなかっただけでも上出来なんじゃない」
「そうだな、にんじんやじゃがいもの大きさがバラバラでさすがのマミーも均等に煮るのが大変だったようだが、怪我がないなら何よりだ」
「そうそう、チョロ松兄さんはいちいち細かいんだよ。手伝ったことに変わりはないんだし、出来なかったことより出来たことを褒めてあげたらいいと思うなぁ」
「一松、カラ松、トド松っ………」
今名前が挙がった松にナス子の好感度ポイントがプラス5ずつされた。
どうやらチョロ松は選ぶ台詞を間違えてしまったようだ。
「ちょ、べ、別に僕はそんなつもりじゃなくてっ……ゴメン、ついいつもの癖で」
「ええええ、素直すぎて逆に怖いんだけど! 別に私も本気で気にしてるわけじゃないしっ、謝る事ないよチョロ松っ」
しゅんとしてしまったチョロ松に慌てて両手を振ると、安心したように浅く溜め息をつく。