第70章 【逆ハールート】花見 翌日のお泊り
ナス子の行動に合わせて、全員でいただきますの挨拶をすると、各々ケーキを口に運び出す。
「ナス子姉、しばらくは休憩? それともおやつ食べたら続きするの?」
「ううん、教えてもらいつつ晩御飯の下ごしらえもしてたから、今日はここまでだって。お夕飯の仕度まではゆっくりしててって言われたからお言葉に甘えちゃった~」
「じゃあ夕飯までは休めるんだな」
「うん、そうそう。いや~それにしても料理ってやっぱり疲れるんだなぁ……アンタたち、松代さんにちゃんと感謝しないとねぇ。それでなくてもどうせ家事のかの字もやらないんでしょ~?」
ピシピシピシ、と六つ子を順番に指差し、最後に腕を組んでそう叱るナス子だが、松代にも今まで散々言われてきたことなので何とも思わないし響きもしない。
「あのさぁ、それをナス子が言う? お前だって家事のかの字もしないくせに、よく僕達にそんなことが言えるよね」
溜め息を吐いてチョロ松がこちらを呆れた目で見ながらそう言い、ケーキの続きを食べ始める。
「姉さん! ケーキごちっす! んまー! んで、あんまー!」
「ナス子! 俺は実家では家事はしない……何故なら、マミーという立派に家事をこなす人間がいるからな……俺がやるべきことはない」
「十四松! どうしたらそんなに顔がクリームだらけになるわけ?! 拭け!! カラ松……確かにウチではカラ松が色々やってくれてるけど、出来るんなら実家でもやればいいのに、松代さん大変なんだからさっ」
カラン、という音がしてそちらを見る。
どうやらあっという間にケーキを食べ終えたおそ松がフォークを皿の上に投げるようにして置いた音だったらしく、満足そうにお腹をさすって満面の笑みを浮かべている。
「ごっそーさん! いやー美味いわ~タダで食べられるものって何でこんなに美味いんだろうなぁ~」
「ホントクズだなお前……もうちょっと他に言うことあるだろ」