第70章 【逆ハールート】花見　翌日のお泊り

「チョロ松兄さん、おそ松兄さんには何を言っても無駄だってわかってるでしょ？　突っ込むだけ体力と精神力を消耗するだけだよ」

「それもそうか」

「ねぇちょっと俺の扱いひどすぎないっ？！　ナス子聞いた？！　今のコイツらの発言！　俺傷ついたんだけど！　慰めて！」

　そんなおそ松はどさくさに紛れてナス子に抱きつこうとするのだが、ちゃっかりナス子の隣に座っていた一松が間に入りそれを許さない。

　おそ松がする行動を読んでいたかの行動に、おそ松以外の松達から感嘆の声と拍手が上がる。

「なんだよっ、どけよ一松！　ケーキ残ってんぞ！」

「ケーキは食うよ。おそ松兄さんが離れたらね……てかそんなことぐらいでアンタ傷つかないでしょ、何とも思ってないでしょ？　はい、戻った戻った」

「なんなのっ？！　俺もう食べ終わったんだから好きにさせろよっ」

「ぼくも食べ終わったよ！　お皿も舐めたー！　姉さん！　ぼくお皿洗ったよー！　偉いでしょお～！」

　ピカピカに光輝く皿をナス子に見せ、その眩しさに思わず目を擦る。
　
「あのねぇ、どんなに綺麗に舐めても、それは洗ったとは言わないからねっ、めっちゃ眩いけども！！　食べ終わったなら流しまでお皿を下げて、水につけておくくらいはしないとーっ」

「そうだぞ～十四松、ナス子の言う通りにしろよ～」

　十四松の皿の輝きに同じく目をやられていた一松が両目を擦りすぐに目が開けられない。

　その隙を突き、まんまとナス子の背後に回り、すぐ後ろから聞こえた長男の声にナス子は振り向こうと体勢を変えようと微かに動く。
　しかしながら、それよりも早く、おそ松が身体に手を回して後ろから抱き締める状態で肩に顎を乗せていた。

「はっ……クソ長男……いつの間にっ……」

　悔しそうに顔を歪ませ、一松がナス子からおそ松を引き離そうとするが、てんで剥がれない