第69章 【逆ハールート】花見
酒を飲んだ後のこのハードな踊り。
この後の展開はリバースしかない予感がする。
「ったく、花見に来たんでしょ? 花見ないで騒ぐだけとか、それなら宅飲みでもよかったんじゃないの?」
「言えてる……わざわざ仕度して外で飲んでも結局最後はこうなるんだから家から出ないでもよかったよね……」
ナス子の横で、ちゃんと花見酒を始めている一松とトド松は、横でドンチャン騒ぎをしている四人を横目に、ちゃっかり流れでナス子にお酌をしてもらい続けている。
「あはは、でもまぁ……アンタたちらしいっちゃらしいけどね! ちょっとおそ松、カラ松、チョロ松、十四松! あんまり無茶な動きすると気持ち悪くなっちゃうよ?!」
「そうだよ兄さん達! ぶっ倒れても運んであげないからね? 倒れたらここに放置してくから」
すると、一番キレッキレダンスのチョロ松が突如両手で口を覆い少し離れた所に走って行く。
その様子にまだ理性を保っていたメンバーは容易にこの後がどうなるか予想がついた。
「うっ……オエェェェ━━━━━━━━━━」
それみた事かと一松、トド松、 ナス子は呆れたように目を細める。
「あいっかわらず酒弱ぇなぁ~チョロ松は~だーっはっはっは!!」
「フフン、ダンスバトルは俺の勝ち……だなぁチョロまぁつ!」
「ボクはまだ負けてないよー!!」
「そうだったな十四まぁつ!! どちらかが倒れるまで勝負だブラザ~!」
少し遠くでリバースするチョロ松。
酒に飲まれ馬鹿笑いが止まらないおそ松。
何故か踊りがバトルへと発展したカラ松に十四松。
馬鹿だなぁ、アホだなぁ、救えないなぁ。
とは思いながらも昔から変わらないこの賑やかな雰囲気に ナス子も笑いが込み上げてくる。
「ははっ!ほんっとあんた達ってダメ人間!!」
「あぁ? 俺は普通に飲んでるんだけど?」
「そうだよ ナス子姉! あんなウンコな兄弟達とぼくを一緒にしないでくれる?!」
さも不服そうに言う二人だが、その二人も既に顔は真っ赤で目は虚ろ。
そろそろ引き上げるには頃合いかもしれない。
お酒が飲めない ナス子はコップにお茶を入れて飲もうとするが、上からヒラヒラと舞う桜の花びらが一枚コップの中に落ちて浮いた。