第69章 【逆ハールート】花見
「あ~~、花見って感じだねぇ! でも、桜って綺麗だけど散るの早いから少し物寂しい感じもするなぁ……」
「どうしたの、いきなりセンチメンタルな事言って」
「ん~」
トド松が顔を覗き込んできたが、上の桜の花を見て少し微笑む。
この関係も、昔とは変わってしまったのだが……。
今の関係が終わってしまうのはもっと怖いと思ってしまう。
すると隣にいた一松が ナス子を見て口を開く。
「心配する事ないよ、また来年同じように咲くんだから」
「そうそう、それに桜が散って暫くしたら夏がきて~……」
「へへへ、トド松……夏と言えば?」
「ふふーん、一松兄さんったらそれぼくに聞いちゃう?」
「え、何言ってんのアンタ達?」
桜の話をしていたのにいきなり話題を変えられ、一松とトド松はニヤニヤして顔を合わせた。
「「水着!!」」
そして互いに楽しそうに指を差して笑っている。
「はい?」
「いやぁ、楽しみですなトッティ…… ナス子にどんなの着せようか?」
「う~ん、そうだねぇ出来るならヘソが見えるヤツがいいかなぁ」
「おい、お前ら」
二人意気投合と言った感じで、恋人に着させる予定の水着の話をその恋人本人そっちのけでワイワイと騒ぎ話出す。
「…………ダメだこりゃっ」
そう一言残し、少しだけ悪いとは感じつつも、収集のつかないメンバーを後目に持ってきた荷物を纏めると酒に酔っている為かその動作に誰一人気づく事はなく、 襲い来る睡魔と戦いながらナス子は家に帰って行ったのだった。
次の章に続く…