第69章 【逆ハールート】花見
「それは全くフォローになってないし、おそ松ずっとウィンナー食べてない?」
「え?! そ、そうだっけぇ? ハハハハ」
「ジャリジャリ……ボリ、ゴリ…ごくん 味と触感はおかしいけどちゃんと食べれるよ姉さん!」
先程までウインナーを頬張っていた十四松だが、おにぎりと卵焼きを両手に持ち交互に食べつくす。
「フフーン、俺も食べたぜぇ~? 見てくれ、俺の分は既にもう腹の中だ……美味かった、多分」
「多分ていうなっ、ていうか皆どうしたの?! そんな気を使ってくれなくてもいつもみたいに文句言ってくれていいのに!」
慌てたナス子が皆のコップについついお酌してしまう。
早く飲みこんでこの変な物体の味、触感を流し込み忘れて欲しいと思った。
珍しいナス子からのお酌に、機嫌よく酒を煽る面々。
喉元過ぎれば……というやつなのか、アルコールの力もあるのか、すでに不味い物を食べたことなど気にも留めていない様子である。
「あっはは~! 桜キレ~イ!! 姉さん見て見て!! さくら舞い散る中で踊る~~~ぼくっ!! ハッスルハッスルゥ!! マッスルマッスルゥ!!」
「おいおい十四松ぅ、それ踊りじゃないだろぉ? 踊りっつーのはこうやってぇ~……」
ハッスルマッスルする十四松の隣、酒で顔を赤くしたおそ松がしゃっくりを一度し、酔拳のようなポーズを決めようとするも足元がおぼつかず座ってチビチビ酒を煽っていたチョロ松にぶつかる。
「ってぇな!! おいクソ長男!! 踊りっていうのはこうだろ!! ッハイ!! ッハイ!! あ、それそれそれそれぇっ!!」
「フッ! ダンスか! まかせろブラザァ……っこのカラ松が!! 最高のキレキレダンスを披露してやろう!!」
おそ松に怒鳴りつつすくりと立ち上がり、唐突にオタ芸を始めるチョロ松に続き、何故か着ていた皮ジャンを投げ捨て激しく踊り始めるカラ松。