第69章 【逆ハールート】花見
「ん~……じゃあ、行こう、かな?」
「ミケ子も連れてきてよね……」
「わかってるよー! そっちの家に泊まるならちゃ~んとミケ子も連れて行きますっ」
「やっとマイハニーをマミーに紹介する時がきたか……それならば明日は今までの中でも最高で最上級の服装で挑まねばならないな……フッ」
「普通の服にしてくれないなら行かないから!!」
「寧ろ俺達も我慢出来ないからやめてぇ~?」
「え」
「…………あ」
「ん? どうしたのナス子」
チョロ松が聞くと少し考えるように俯きナス子は考える。
ふと思い出したのだ。
実は六つ子と付き合っているという事は誰にもまだ言っていない。
言っていないと言うか、さすがに言えないと言うか。
あんなに松プッシュの多い松代だったとしても、さすがに自分の息子全員と付き合ってます~!なんて言われたら常識的に考えて反対もされるだろうし、寧ろ大好きな松代に嫌われたくないとナス子は思うと、六人に向き直り真面目な表情をする。
「ねえ、皆!! あのね、泊まりに行くには行きたいんだけど………その、えっと」
「? なんだよ、来ればいいだろ、いつもみたいにさぁ」
おそ松がキョトンとしながら答えたが、その言葉を拾う事なく続ける。
「さすがにさ、さすがにね? 皆と私が付き合ってるって言ったら松代さんもビックリすると思うのよ! だからさぁ、ひっ、秘密に……して、欲しいんだけ、ど」
お願いというより懇願にも近いそれに、六つ子たちは顔を見合わせてキョトンとした表情を見せる。
先程言葉を拾われなかったおそ松が、なんだそんなことかと口を開く。
「急に改まるから何を言い出すかと思えば……そんなの当たり前だろぉ? いくら俺たちでもそんぐらいわかるって。 つか、この年になってわざわざ彼女が出来ました~とか親に言う? 普通」
「え? い、言うでしょ、普通……」
いや、もしかして私がおかしいのか? とナス子は首を捻る。
確かに、そう言われてみればいい年をしてわざわざ親に恋人が出来ました~とかいちいち報告するかな……?
人に寄るだろうが、考えてみるとおそ松の言う通り、わざわざ改まって言うことでもないような気がして来た。